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荷車
「荷車〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
荷車の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「少年」より 著者:芥川竜之介
同時に大沙漠の空想などは蜃気楼《しんきろう》のように消滅した。今はただ泥だらけの
荷車が一台、寂しい彼の心の中《うち》におのずから車輪をまわしている。……
保吉....
「或る女」より 著者:有島武郎
って子を背負ったまま旗をかざす女房《にょうぼう》、汗をしとどにたらしながら坂道に
荷車を押す出稼《ともかせ》ぎの夫婦――わけもなく涙につまされる葉子は、定子のそう....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
水になったのは向うのあの藪までで、後はやっぱりこれと同一《おなじ》道筋で山までは
荷車が並んで通るでがす。藪のあるのは旧《もと》大きいお邸《やしき》の医者様の跡で....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
があったのである。 廂から突出した物干棹に、薄汚れた紅の切が忘れてある。下に、
荷車の片輪はずれたのが、塵芥で埋った溝へ、引傾いて落込んだ――これを境にして軒隣....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
日の暮れがた、ある小学校の先輩と元町通りを眺めていた。すると亜鉛の海鼠板を積んだ
荷車が何台も通って行った。 「あれはどこへ行く?」 僕の先輩はこう言った。が、....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
うな嘉吉を、浪打際に押取巻いて、小田原|評定。持て余しておりました処へ、ちょうど
荷車を曳きまして、藤沢から一日|路、この街道つづきの長者園の土手へ通りかかりまし....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
泊りとかいた字の、その影法師のように、町幅の真ただ中とも思う処に、曳棄てたらしい
荷車が一台、屋台を乗せてガタリとある。 近いて見ると、いや、荷の蔭に人が居た。....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
は繰り返して居たが、何だか泣きそうな顔になった。 その内別荘へ知らぬ人が来て、
荷車の軋る音がした。床の上を重そうな足で踏む響がした。クサカは知らぬ人の顔を怖れ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
。前年その長屋の表町に道普請があって、向側へ砂利を装上げたから、この町を通る腕車
荷車は不残路地口の際を曳いて通ることがあった。雨が続いて泥濘になったのを見澄して....
「燕と王子」より 著者:有島武郎
しますと王子のおっしゃるには、 「今日はあの東の方にある道のつきあたりに白い馬が
荷車を引いて行く、あすこをごらん。そこに二人の小さな乞食の子が寒むそうに立ってい....
「もみの木」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
になると、この若いもみの木は、それをみてこわがってふるえました。けれども、それが
荷車につまれて、馬にひかれて、森を出ていくとき、もみの木はこうひとりごとをいって....
「母を尋ねて三千里」より 著者:アミーチスエドモンド・デ
した。道の両側にはひくい白い家がたちならんでいて、街にはたくさんな人や、馬車や、
荷車がひっきりなしに通っていました。そしてそこにもここにも色々な色をした大きな旗....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
して、ここを、二人ばかり人が通る。……屋台を崩して、衣装|葛籠らしいのと一所に、
荷車に積んで、三人で、それは畷の本道を行きます。太神楽も、なかなか大仕掛なもので....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
気はなく、近づいて来る跫音もしない。もっともここに来る道で谷中から朝顔の鉢を配る
荷車二三台に行逢ったばかりであるから、そのまま日傘を地の上へ投げるように置いて、....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
長者より、もっと老朽ちた橋であるから、ついこの居まわりの、砂利場の砂利を積んで、
荷車など重いのが通る時は、埃やら、砂やら、溌と立って、がたがたと揺れて曇る。が、....