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莚
「莚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
莚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
ある。これからしてみれば、一夜の間は心を静め澄さねばならない女神の斎《いつき》の
莚《むしろ》にかかる動きゆらめくものが傍におることは親とはいえ娘の神の為めになら....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
器師の翁《おきな》が萎《な》えな烏帽子をかぶって、少し猫背に身をかがめて、小さい
莚の上で何か壺のようなものを一心につくねていた。日よけに半分垂れたすだれの外には....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
合っていた。検視の役人がまだ出張しないので、死骸は岸の桜の下へ引き揚げたままで荒
莚《あらむしろ》を着せてあった。吉五郎はそっと眼をくばると、人込みのなかに兼松の....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
を持って半七老人の家をたずねると、老人は湯から今帰ったところだと云って、縁側の蒲
莚のうえに大あぐらで団扇をばさばさ遣っていた。狭い庭には夕方の風が涼しく吹き込ん....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
だか、身体の深い底の方から、急に大きな声でウワーッと叫びたくなった。これまで針の
莚にいるような気持で、役所づとめをしていたのが、我が身ながらいじらしくなってきた....
「食魔」より 著者:岡本かの子
ろ、食べもの漁りはやめなかった。 少青年の頃おいになって鼈四郎は、諸方の風雅の
莚の手伝いに頼まれ出した。市民一般に趣味人をもって任ずるこの古都には、いわゆる琴....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
いる。蓑笠の人が桑を荷って忙がしそうに通る、馬が桑を重そうに積んでゆく。その桑は
莚につつんであるが、柔らかそうな青い葉は茹でられたようにぐったりと湿れている。私....
「壁の眼の怪」より 著者:江見水蔭
取囲まれて、全くの別世界。家の建築も非常に変っていて、六月というに未だ雪避けの萱
莚が、屋上から垂れていて、陰気臭さと云ったらないのであった。 勝成裕と立花直芳....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
貞奴や深沢恒造などで九月から本郷座で開演し、旧は左団次、寿美蔵、又五郎、宗之助、
莚若などに、大阪から延三郎、璃徳などが加わって、明治座で開演するはずであるから、....
「火に追われて」より 著者:岡本綺堂
置いて来たのとで、近所の人たちも少しくおちついたらしく、思い思いに椅子や床几や花
莚などを持ち出して来て、門のまえに一時の避難所を作った。わたしの家でも床几を持ち....
「思い出草」より 著者:岡本綺堂
くと、秋の初めの涼しい夜で、四谷|伝馬町の通りには幾軒の露店が出ていた。その間に
莚を敷いて大道に坐っている一人の男が、半紙を前に置いて頻に字を書いていた。今日で....
「磯部の若葉」より 著者:岡本綺堂
いる。蓑笠の人が桑を荷って忙がしそうに通る、馬が桑を重そうに積んでゆく。その桑は
莚につつんであるが、柔かそうな青い葉は茹られたようにぐったりと湿れている。私はい....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
る。周囲は薄や粟からで囲ってある。中は入口近くに三尺四方ほどの囲炉裡があって、古
莚を敷いたところは曲の手の一畳半ほどもない。奥の方には岩を穿って棚を作り、鍋やら....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
霜の消えて行く地面からは、遠近に軽い煙を噴いていた。南向の小屋の前には、二三枚の
莚が拡げて乾してあった。父子はここに腰を卸して、見るとも無しに瞰上げると、青い大....
「明治演劇年表」より 著者:岡本綺堂
。三名優みな亡びて、歌舞伎の劇界暗澹。新派劇ますます盛んなり。 ○左団次の遺子|
莚升、父のあとを享けて明治座を経営する事となる。時に二十五歳。九月十五日より「牛....