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菫
「菫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
菫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「河童」より 著者:芥川竜之介
と頭をあげ、悲しい鼻声を出しました。
「僕はきょう窓の外を見ながら、『おや虫取り
菫《すみれ》が咲いた』と何気《なにげ》なしにつぶやいたのです。すると僕の妹は急に....
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
いうよりは寂しい感じを起させる。この日は風のない暖かなひよりで、樺林の間からは、
菫色《すみれいろ》の光を帯びた野州の山々の姿が何か来るのを待っているように、冷え....
「樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
節を思い出させたのは、今でも歴々と覚えている。それから急な石段を墓の所へ登ると、
菫《すみれ》がたくさん咲いていた。いや、墓の上にも、誰《だれ》がやったのだか、そ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
を捌いて、濃いお納戸地に、浅黄と赤で、撫子と水の繻珍の帯腰、向う屈みに水瓶へ、花
菫の簪と、リボンの色が、蝶々の翼薄黄色に、ちらちらと先ず映って、矢車を挿込むと、....
「春昼」より 著者:泉鏡花
の、ちょっと大きな池もあります。一面に青草で、これに松の翠がかさなって、唯今頃は
菫、夏は常夏、秋は萩、真個に幽翠な処、些と行らしって御覧じろ。」 「薄暗い処です....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
り、ご新姐――お雪さんに、（おい、ごく内証だぜ。）と云って、手紙を托けたんです。
菫色の横封筒……いや、どうも、その癖、言う事は古い。（いい加減に常盤御前が身のた....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
で薄あかりにすらりと立つ。 堂とは一町ばかり間をおいた、この樹の許から、桜草、
菫、山吹、植木屋の路を開き初めて、長閑に春めく蝶々｜簪、娘たちの宵出の姿。酸漿屋....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
した、縞お召に、ゆうぜんの襲着して、藍地糸錦の丸帯。鶸の嘴がちょっと触っても微な
菫色の痣になりそうな白玉椿の清らかに優しい片頬を、水紅色の絹｜半※でおさえたが、....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
、ついこの右の方の丘の松蔭にあるんだが、そこへ参詣をして、墳墓の土に、薫の良い、
菫の花が咲いていたから、東京へ持って帰ろうと思って、三本ばかり摘んで、こぼれ松葉....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
月夜のような青畳、紫縮緬ふッくりとある蒲団に、あたかもその雲に乗ったるがごとく、
菫の中から抜けたような、装を凝した貴夫人一人。さも旅疲の状見えて、鼠地の縮緬に、....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
らちらと咲いて、姫がものを言う唇のように、芝生から畠を劃って一面に咲いていた三色
菫の、紫と、白と、紅が、勇美子のその衣紋と、その衣との姿に似て綺麗である。 「ど....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
のとの両極端が松と竹とで、梅はその中間に位して居るようでございます。 それから
菫、蒲公英、桔梗、女郎花、菊……一｜年生の草花の精は、何れも皆小供の姿をしたもの....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
後には器械が精密になったので、段々と見つかったものもベッケレルが発見したし、かつ
菫外線を金属にあてると、金属から電子の飛び出ることもヘルツが発見した。 さてフ....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
めかしい草の上、雨のあとの薄霞、山の裾に靉靆く中に一張の紫大きさ月輪の如く、はた
菫の花束に似たるあり。紫羅傘と書いていちはちの花、字の通りだと、それ美人の持物。....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
。 怪しき臭気、得ならぬものを蔽うた、藁も蓆も、早や路傍に露骨ながら、そこには
菫の濃いのが咲いて、淡いのが草まじりに、はらはらと数に乱れる。 馬の沓形の畠や....