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萌す
「萌す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
萌すの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「近時政論考」より 著者:陸羯南
教の自由すでに立ちて教権ようやく衰え、しかして国民的感情ははじめてふたたび人心に
萌す。これを第一の変遷となす。日本近時の政論派にしてキリスト教と抱合し、あえて国....
「謀叛論(草稿)」より 著者:徳冨蘆花
に打込むのも、かような機会はまたと得られぬ。しかるに彼ら閣臣の輩は事前にその企を
萌すに由なからしむるほどの遠見と憂国の誠もなく、事後に局面を急転せしむる機智親切....
「青年」より 著者:森鴎外
抗が一面に起ると同時に、己はその下宿屋の二階もまだ知らないと思う怯懦が他の一面に
萌す。丁度 Titanos が岩石を砕いて、それを天に擲とうとしているのを、傍に....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
を待て居るに、何処の竜宮へ行かれて乙姫の傍にでも居らるゝ事ぞと、少しは邪推の悋気
萌すも我を忘れられしより子を忘れられし所には起る事、正しき女にも切なき情なるに、....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
へとなだれ込む。その罪穢、その腐敗は、まさに言語に絶し、万の災厄は、すべてここに
萌すのである。地上の人類が、もう少し這間の事情に通ぜぬ限り、文化の発達は到底遅々....
「雁」より 著者:森鴎外
なと戒める。少壮な身を暖い衾の裡に置けば、毒草の花を火の中に咲かせたような写象が
萌すからである。お玉の想像もこんな時には随分|放恣になって来ることがある。そう云....
「駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
には、いつでも羞かしい我の影がつき纏うて、他人の幸福を呪うようなあさましい根性も
萌すのであった。 実際千代子の大槻に対する恋は優しい、はげしい、またいじらしい....
「エレオノラ・デュウゼ」より 著者:和辻哲郎
にニイチェのいわゆる Die Trene gegen die Vorzeit が
萌す。 ついに彼女は偉大なる芸術の伝統に対する Heimweh を起こした。古....
「世界漫遊」より 著者:ダビットヤーコプ・ユリウス
ないとなると、遣れるものだと、自分で満足した。 そう思うと同時に、平生の傲慢が
萌す。幸な事には、いつまでもこんな事をする必要がない。出来たからって、えらがるの....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
ていて、友達にも話し、妻にも話した、死刑の立会をするという、自慢の得意の情がまた
萌す。なんだかこう、神聖なる刑罰其物のような、ある特殊の物、強大なる物、儼乎とし....