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落
「落〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
落の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
をとり上げ、今度は熱心に的《まと》を狙う。三発、四発、五発、――しかし的は一つも
落ちない。少年は渋《し》ぶ渋《し》ぶ銀貨を出し、店の外へ行ってしまう。
....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
の消息は、杳《よう》として再び聞えなかった。
寛文《かんぶん》九年の秋、一行は
落ちかかる雁《かり》と共に、始めて江戸の土を踏んだ。江戸は諸国の老若貴賤《ろうに....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
野寺十内が、何かと思った気色《けしき》で、ちょいと顔をあげたが、すぐまた眼を紙へ
落して、せっせとあとを書き始める。これは恐らく、京都の妻女へ送る消息でも、認《し....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
鴉の啼くような声を立てたかと思うと、まるで電気に打たれたように、ピストルは手から
落ちてしまいました。これには勇み立った遠藤も、さすがに胆をひしがれたのでしょう、....
「狂女」より 著者:秋田滋
んで眼中にないかのように、例によって例のごとく、じいッとしたままだった。 この
落つき払った沈黙を、将校は、彼女が自分にたいして投げてよこした最高の侮蔑だと考え....
「墓」より 著者:秋田滋
つづいている間は、驚きと恐怖のあまり、わたくしにはもう何がなにやら解らなくなり、
落ついて物を考えることなどは出来なかったのであります。彼女が死んでしまうと、劇し....
「初雪」より 著者:秋田滋
泥河のようになってしまい、野はいちめんの泥海と化した。聞えるのは、ただどうどうと
落ちる雨の音ばかり。眼に見えるものと云っては、渦を巻いて飛んでいる鴉の群だけであ....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
一の俊傑なりしか、この県下に第一ならば全国の英雄が集まる東京に出るとも第二流には
落つまじと俄かに気強くなりて、密かに我腕を我と握りて打笑みたり。この頃の考えには....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
つつ日を暮らし、終に眠るがごとくにこの世を去り、静かに墓地に葬られた頃になると、
落涙を禁じ得ない。 前編に大体の伝記を述べて、後編に研究の梗概を叙することにし....
「寡婦」より 著者:秋田滋
バヌヴィルの館で狩猟が催されていた、その間のことである。その秋は雨が多くて陰気だった。赧い
落葉は、踏む足のしたでカサとの音もたてず、降りつづく陰欝な霖雨にうたれて、轍のな....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
困惑するにちがいない。おそらくこの思いつきは大工のヨースト・ヴァン・ホーテンが鰻
落しのからくりから借りてきたものであろう。校舎は、少々ものさびしいとはいえ気持ち....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
はそっとこう云った。 「どうだね、お前にゃ見覚えはねえかい」 女房はそわそわと
落ち付かぬ容子をして、亭主と同じように切りに思い出そうとしていたが、出し抜けに、....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
は機知に富む男だと讃められた。 だが、私は血を見なかったのだった。しかし、私は
落著いている。 八月三十日―― 子供の死体が発見された。犯人の捜索が始った。....
「夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
燃え上った十年、作家生活の火華は火華を産ンで、花火線香の最後に
落ちる玉となって消えた夢野久作、その火華は、今十巻の全集となって、世に出ようとし....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
右衛門も顔をしかめて坂の下を見下しました。 「早く来い、早く来い……面白いものが
落ってるぞ!」 という伊作の声がきこえて来ました。 「面白いものが
落ってるよ。」....