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落ち
「落ち〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
落ちの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
をとり上げ、今度は熱心に的《まと》を狙う。三発、四発、五発、――しかし的は一つも
落ちない。少年は渋《し》ぶ渋《し》ぶ銀貨を出し、店の外へ行ってしまう。
....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
の消息は、杳《よう》として再び聞えなかった。
寛文《かんぶん》九年の秋、一行は
落ちかかる雁《かり》と共に、始めて江戸の土を踏んだ。江戸は諸国の老若貴賤《ろうに....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
のはげた古風な汽船をものうげにゆすぶっているにしても、自然の呼吸と人間の呼吸とが
落ち合って、いつの間にか融合した都会の水の色の暖かさは、容易に消えてしまうもので....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
律はこう云い終ると、頭の位置を変えようとした。その拍子に氷嚢《ひょうのう》が辷り
落ちた。洋一は看護婦の手を借りずに、元通りそれを置き直した。するとなぜか※《まぶ....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
喧嘩したようにも覚えている。また嶮《けわ》しい梯子段《はしごだん》を転《ころ》げ
落ちたようにも覚えている。が、どちらも確かではない。とにかく彼はえたいの知れない....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
の辺《へん》から引っ返すかな。」
僕等はMのこう言った時、いつのまにかもう風の
落ちた、人気《ひとけ》のない渚《なぎさ》を歩いていた。あたりは広い砂の上にまだ千....
「運」より 著者:芥川竜之介
の方がわからなそうだね。」
日が傾き出したのであろう。さっきから見ると、往来へ
落ちる物の影が、心もち長くなった。その長い影をひきながら、頭《かしら》に桶《おけ....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
鴉の啼くような声を立てたかと思うと、まるで電気に打たれたように、ピストルは手から
落ちてしまいました。これには勇み立った遠藤も、さすがに胆をひしがれたのでしょう、....
「狂女」より 著者:秋田滋
とである。山※をまた一羽射とめたのだが、そいつが木の枝の繁った溝のようなところに
落ちて見えなくなってしまった。で、僕はやむなくその獲物を拾いにそこへ降りていった....
「初雪」より 著者:秋田滋
泥河のようになってしまい、野はいちめんの泥海と化した。聞えるのは、ただどうどうと
落ちる雨の音ばかり。眼に見えるものと云っては、渦を巻いて飛んでいる鴉の群だけであ....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
二日生れ ミケル・ファラデー 一八六七年八月二十五日死す 日輪が静に地平線より
落ち行きて、始めて人の心に沈み行く日の光の名残が惜しまれる。せめて後の世に何なり....
「寡婦」より 著者:秋田滋
、力つきて倒れてしまうほど駈けました。その子の小さな学帽が泥だらけになって地面に
落ちていました。その晩は夜どおし雨が降っていたのです。私は目をあげて上を見ました....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
はそっとこう云った。 「どうだね、お前にゃ見覚えはねえかい」 女房はそわそわと
落ち付かぬ容子をして、亭主と同じように切りに思い出そうとしていたが、出し抜けに、....
「夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
燃え上った十年、作家生活の火華は火華を産ンで、花火線香の最後に
落ちる玉となって消えた夢野久作、その火華は、今十巻の全集となって、世に出ようとし....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
赤児の帯をほどいて、厩の方へつれて行こうとすると、大きな振袖の中から一枚の紙片が
落ちて来ました。 「何んだべい!」と言って、その紙片を亭主の太郎右衛門に渡しまし....