落款[語句情報] » 落款

「落款〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

落款の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
子供の病気」より 著者:芥川竜之介
夏目先生は書の幅《ふく》を見ると、独り語《ごと》のように「旭窓《きょくそう》だね」と云った。落款《らっかん》はなるほど旭窓外史《きょくそうがいし》だった。自分は先生にこう云....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
所をちゃんと心得ている」と言う言葉である。東洋の画家には未《いま》だ甞《かつ》て落款《らくかん》の場所を軽視したるものはない。落款の場所に注意せよなどと言うのは....
彼は昔の彼ならず」より 著者:太宰治
でもって書いたものらしく、仰山に肉の太い文字で、そのうえ目茶苦茶ににじんでいた。落款《らっかん》らしいものもなかったけれど、僕はひとめで青扇の書いたものだと断定....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ん、というような微笑をみせると、やぶからぼうに尋ねました。 「見れば、この新画の落款には栄湖としてあるようじゃが、栄湖というのはあの四条派の久和島栄湖であろうな....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
額には草書で『報恩額』と筆太にしるしてあった。嘉永|庚戌、七月、山村菱秋書という落款で、半七先生に贈ると書いてあるのも何だかおかしいようにも思われた。この額のい....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
。水臭いが、これも時世だ。伊之助――品はよく改めて見ろよ。」 「お父さん、ここに落款が宗紫山としてありますね。」 「これはシナ人の筆だろうか、どうも宗紫山とは聞....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
けり。頭上には高く両陛下の御影を掲げつ。下りてかなたの一面には「成仁」の額あり。落款は南洲なり。架上に書あり。暖炉縁の上、すみなる三角|棚の上には、内外人の写真....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ながら、同じ筆で、そのわきへ「湖海侠徒雲井竜雄題」と小さく書きました。 これが落款《らっかん》のつもりでしょう。「湖海侠徒雲井竜雄」というのが、この男の好んで....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
鼠入|銭※《せんとう》伎已窮 と、いけぞんざいに書きなぐってある。その下の落款《らっかん》を見ると、「一休純」と読める。そこで道庵先生が、 「一休め、皮肉....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
容の数寄《すき》を凝らしたことは一目見てもそれとわかるのであります。 光悦筆と落款《らっかん》をした六曲の屏風《びょうぶ》に、すべて秋草を描いてある。弁信には....
次郎物語」より 著者:下村湖人
え。誰だって教わらなきゃ、わからんよ。」 「誰が書いたんでしょう。」 額は無|落款だったのである。 「先生だそうだ。」 「先生が? どうして、誰にもわかるよう....
次郎物語」より 著者:下村湖人
磨硝子をはめた五間ぶっとおしの窓一ぱいに照っており、床の間の「平常心」と書いた無落款の大きな掛軸が、まぶしいほど明るく浮き出している。 次郎は、かかえて来た刷....
浮世絵画家の肉筆」より 著者:上村松園
。 もっとも、寛永前後のものを主にされてあるように感じましたのは、その時分の無落款のものに極めて佳いものが多かったからかも知れませんが、兎に角近世作家のものが....
中支遊記」より 著者:上村松園
の筆になった新しい絵のようであった。或は知っている作家かとも思うが、少し遠いので落款をはっきり見ることが出来なかった。 物静かな、大柄な、青年のような汪主席は....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
保存すべき由を住職に伝えたが、今はドウなったか知らん。 円福寺の画にはいずれも落款がないので椿岳の作たるを忘れられておる。椿岳の洒々落々たる画名を市るの鄙心が....