落着[語句情報] »
落着
「落着〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
落着の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
憾《うらみ》はあったが、障子襖《しょうじふすま》もほどよく寂びのついた、いかにも
落着きのある座敷だった。私の世話を焼いてくれる別荘番の夫婦者は、格別用のない限り....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
の不思議な振舞が気になって、若殿様の御文の事さえ、はては忘れそうになったくらい、
落着かない心もちに苦しめられたとか申して居りました。
しかしその御文は恙《つつ....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
《もうろう》とした上、鼻ばかり非常にひろがっている。幸いにそれでも彼の心は次第に
落着きを取り戻しはじめた。同時にまた次第に粟野さんの好意を無《む》にした気の毒さ....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
ましょうか。」
本多子爵はわざと眼を外《そ》らせながら、私の気をかねるように、
落着かない調子でこう云った。私は先達《せんだって》子爵と会った時に、紹介の労を執....
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
の酒家《しゅか》の卓子《たくし》に、酒を飲み明かすことなぞもある。そう云う時には
落着いた王生が、花磁盞《かじさん》を前にうっとりと、どこかの歌の声に聞き入ってい....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
は存外ゆっくりと、二人の枕もとへはいって来た。そうして白い影のように、そこへ腹を
落着けたなり、じっと彼等を眺め出した。
お蓮は何だかその眼つきが、人のような気....
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
みならずいかに断《ことわ》っても、容易に帰るけしきを見せなかった。自分はとうとう
落着きを失い、「そんなことを聞いている時間はない。帰って貰おう」と怒鳴《どな》り....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
は頭を擡《もた》げたまま、まともにお嬢さんの顔を眺めた。お嬢さんもじっと彼の顔へ
落着いた目を注いでいる。二人は顔を見合せたなり、何ごともなしに行き違おうとした。....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
のつくような病気じゃないと思っていたんだよ。」
洋一は長火鉢の向うに、いやいや
落着かない膝《ひざ》を据えた。襖《ふすま》一つ隔てた向うには、大病の母が横になっ....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
せん。どうか冥護《みょうご》を賜るように御祈祷をお捧げ下さいまし。」
女の声は
落着いた中に、深い感動を蔵している。神父はいよいよ勝ち誇《ほこ》ったようにうなじ....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
上は、私も知っているだけの事は、申上げたいと思います。」
本間さんは先方の悪く
落着いた態度が忌々《いまいま》しくなったのと、それから一刀両断に早くこの喜劇の結....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
せていた。……
十分《じっぷん》の後《のち》、保吉は停車場のプラットフォオムに
落着かない歩みをつづけていた。彼の頭は今しがた見た、気味の悪い光景に一ぱいだった....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
徹尾至誠の人だ。」
しかし青年は不相変《あいかわらず》、顔色《かおいろ》も声も
落着いていた。
「無論俗人じゃなかったでしょう。至誠の人だった事も想像出来ます。....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
客翁は、もう一刻も西園《さいえん》の書房に、じっとしていることはできないような、
落着かない気もちになっていたのです。
ところが潤州へ来て観《み》ると、楽みにし....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
いうことはもともとは不賛成なのだ。これらの人達はいかさま師じゃ。 事件はこれで
落着しなかった。ファラデーの友人はこの話をきいて怒り、ファラデーの知らない間に、....