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「落着く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

落着くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
毛のないようにかき上げた。そして袖口をきちんと揃えて、坐りなおすと、はじめて心が落着くのを感じた。おぬいはしんみりと読本に向いて勉強をしはじめた。 ややしばら....
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
室を出る。民子を見にゆくというほどの心ではないが、一寸民子の姿が目に触れれば気が落着くのであった。何のこったやっぱり民子を見に来たんじゃないかと、自分で自分を嘲....
婦系図」より 著者:泉鏡花
面を撫でると、涼しい瞳で、それ見たかと云う目色で、 「誰が見ても……」と、ぐっと落着く。 「弱った。」と頭を圧える。 「朝湯々々、」と莞爾笑う。 「軍師なるかな....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
出る。これにて本当に物価が下ってくれればいいが、どうなるのであろうか。 物価の落着くまでの混乱、事業の縮小、もし支払制限令の金にて食えず、飢餓に陥ったらどうな....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
いうのが事実なら、疱瘡の神の建場でも差支えん。湯の尾峠を越そうとも思います。――落着く前は京都ですわ。 百合 お泊りは? 貴客、今晩の。 学円 ああ、うっかり泊....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
だが、それは別だ。いやあえて怪しい御仁とも見受けはせんが、まあね、この陽気だから落着くが可うござす。一体、何の用なんだい。」 「いや、それに就いて罷出ました……....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
まざまのこと聞えて、ものの音響き渡る。脳苦しければ、目を眠りて静に居つ。 やや落着く時、耳のなかにものの聞ゆるが、しばし止みたるに、頭上なる峰の方にて清き謡の....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
惑らしい様子もないので、 「どうも気の毒です。酷い目に逢ってね。」 といささか落着く。 医師は立はだかりつつ、 「どうした、蚊軍の襲来かい。」 なかなか、....
星女郎」より 著者:泉鏡花
の時々の男の名を覚えて、串戯のように言うと、病人が (ああ、) と言って、胸の落着く処を、 (煩い人だよ。お帰り。) で、すっと撫で下ろす。」―― ....
花束の虫」より 著者:大阪圭吉
眩暈がしそうになるのを、ジッと耐えて、事務卓に獅噛みついていた。が、それでも段々落着くに従って、彼の脳裡に或るひとつの考えが、水の様に流れ始めた…… ――ひょ....
棲霞軒雑記」より 著者:上村松園
る熱情と強い意志の力で踏み越えて――とにもかくにも、私は現在の境をひらき、そこに落着くことが出来たのである。 あの当時の苦しみやたのしみは、今になって考えてみ....
三枚続」より 著者:泉鏡花
と置く。 「違った、二、二、二、二十二銭、そう、そう。」 と独りで狼狽えて独で落着く。 お夏は後生大事に、置いた処を爪紅の尖で圧えながら、 「ちらちらするね....
活人形」より 著者:泉鏡花
二才の口から当家の秘密を、いいつけたに違いない。「だって何程のこともあるめえ。と落着く八蔵。得三は頭を振り、いや、他の奴と違う。ありゃお前、倉瀬泰助というて有名....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
て、なんとなく神戸に似た風情である。初めて踏む異郷の土に、ふととまどいを感じたが落着く先があるので私の心は案外軽かった。しかし連れられていってみると、婦人の家は....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
間の利害等によりその強化を阻止する作用も依然なかなか強い。結局各集団の状況に応じ落着くべきに落着き、しかも絶えずその統制強化に向って進むものと考えられる。合理的....