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「落込む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

落込むの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
単独行」より 著者:加藤文太郎
根で危険なところはないが、まだ初冬であるせいか、ところどころ雪が破れて偃松の中へ落込むところがあった。東天井の中山へつづく西尾根には小さい雪庇が南向へつづいてい....
蝱の囁き」より 著者:蘭郁二郎
うな、激しい興奮に、とても起きてはいられなかったのだ。 ザラザラっと薬が咽喉に落込むと、ツーンと鼻へ罌粟のような匂いが抜けて来た……。 × 私....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
ので、行けば何かあるだろう……天気が可いとなお食べたい。空腹を抱いて、げっそりと落込むように、溝の減った裏長屋の格子戸を開けた処へ、突当りの妾宅の柳の下から、ぞ....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
一つの手を、それなり先生の袖に縋って、無量の思の目を凝らした。 (はあ、) と落込むような大息して、先生の胸が崩れようとしますとな。 (貴方、……あの鍵が返り....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
えた処は、川筋だから轟と鳴る、心細さといったら。 川筋さえ避けて通れば、用水に落込む事はなかったのだが、そうこうする内、ただその飛々の黒い影も見えなくなって、....
道化役」より 著者:豊島与志雄
云い続けた。 「溺れてる者を助ける普通の場合にせよ、その者が、後で必ず何度も水に落込むと分ってる場合、君はそれでもその度毎に飛び込む勇気があるかね。または、始終....
わが血を追ふ人々」より 著者:坂口安吾
分別の殻を負ふてゐるだけ始末の悪い気違ひだつた。彼らは間違ひを合理化し益々愚昧に落込むことを急ぐのだ。 すべてそれらの大人達の愚かさを四郎は別の角度から見抜い....
推理小説論」より 著者:坂口安吾
ほどの天才がない限り、職業作家になっても、忽ちトリックに行き詰ってマンネリズムに落込むばかりだから、片手間にトリックの発明を楽しみ、職業作家になろうなどと思わず....
南国太平記」より 著者:直木三十五
の中へ吸いついて (逃げなければ――) と、思っても、動かなかった。出雲守が、落込むと同時に 「あっ」 と、いう叫び声がした。追手は、泥田の間際で、踏み止ま....
魔都」より 著者:久生十蘭
と思われるばかりにワナワナと震えていたが、やがて急に凋んだようになって椅子の中へ落込むと、ハンカチを取出してしきりに額の汗を拭いながら、 「だが、下手なことをす....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
を取った救の情に、足は抜けた。が、御坊はもう腰を切って、踏立てない。……魔の沼へ落込むのに怯えたから、尻を餅について、草鞋をばちゃばちゃと、蠅の脚で刎ねる所へ、....
一ノ倉沢正面の登攀」より 著者:小川登喜男
見上げながら、堅雪の上をポツポツ登って行くと、やがて衝立岩の真下辺りで、二ノ沢の落込む少し上で、雪渓はくびれたようになって幅一|米半ほどの裂罅が雪渓を上下に切り....
日和下駄」より 著者:永井荷風
と》を廻《めぐ》り流れ流れて行く中《うち》に段々広くなって、天然の河流または海に落込むあたりになるとどうやらこうやら伝馬船《てんません》を通わせる位になる。麻布....