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落魄
「落魄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
落魄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
か、その顔はちょっと見忘れるくらい年がいっていた。そして服装からも、様子からも、
落魄《らくはく》というような一種の気分が漂っていた。木部の顔は仮面のように冷然と....
「富士」より 著者:岡本かの子
ばかにしている」 といって、つまらなさそうに、桔梗の莟の枝を水溜りに投込んだ。
落魄《おちぶ》れた館へ帰って行った、 二三日経って女はまた湧玉の水のほとりで、....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
に、これだけは脚より太い、しっかりした、竹の杖を支いたが、さまで容子の賤しくない
落魄らしい、五十|近の男の……肺病とは一目で分る……襟垢がぴかぴかした、閉糸の断....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
いる。また、フィリップ三世が巴里中の癩患者を焚殺したという事蹟を聞いて、六代後の
落魄したベルトランが、今度は花柳病者に同じ事をやろうとしたそうだ。それを、血系意....
「春昼」より 著者:泉鏡花
妹だか、皆目分らんでございます。貸して、かたに取ったか、出して買うようにしたか。
落魄れた華族のお姫様じゃと言うのもあれば、分散した大所の娘御だと申すのもあります....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
てはどうしても巴里祭の人込みの中で、ひょっとしたら十何年目のカテリイヌ――恐らく
落魄しているだろうが――にめぐり遇っていつか自分を順致して奴隷のようにして仕舞っ....
「勧善懲悪」より 著者:織田作之助
身に沁み渡り、うたた脾肉の歎に耐えないのであったが、これも身から出た錆と思えば、
落魄の身の誰を怨まん者もなく、南京虫と虱に悩まされ、濁酒と唐辛子を舐めずりながら....
「荘子」より 著者:岡本かの子
相印を一人の身に帯び車駕の数は王者を凌ぐと称せられて居た合従の策士蘇秦は日に日に
落魄の運命に陥り新に秦の宰相であり連衡の謀主である張儀の勢力が目ざましく根を張っ....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
対してだ、と思われた。 あとで解った事ですが。―― お冬は武家の出で、本所に
落魄れた旗本か、ごけにんの血を引いている。煮豆屋の婆が口を利いて、築地辺の大会社....
「斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
町へ上るダラダラ坂を登り切った左側の路次裏の何とかいう下宿へ移ってから緑雨は俄に
落魄れた。
落魄れたといっては語弊があるが、それまでは緑雨は貧乏咄をしても黒斜子の....
「活人形」より 著者:泉鏡花
して、「御覧なさい。人品が好くって、痩っこけて、心配のありそうな、身分のある人が
落魄たらしい、こういう顔色の男には、得て奇妙な履歴があるものです。と謂いつつ、手....
「鉄の処女」より 著者:大倉燁子
い間ソファーに倚りかかって話し合いました。たった一人しかない兄弟ですから、たとえ
落魄しているとは云え、兄が生きていたということは、大変に弟を喜ばせたようでした。....
「情鬼」より 著者:大倉燁子
所判ってるか知ら?」 「さあ、いかがでしょう。名前も変っておりましょうし、何でも
落魄して満洲に行き、支那ゴロと同棲してるなんて話も聞きましたから。しかしそれも、....
「蛇性の執念」より 著者:大倉燁子
。だから叔父様は例の写真を持参して、それを証拠に、自分は、先代御木井男爵の弟で、
落魄している叔父だということを告げて、若干の合力を頼んだのだそうです。それ以上の....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
男がいる。私は近づいて声をかけた。聞けば男の生まれは新潟県だという。異郷の果てに
落魄の身の二人である。話合ううちに、しみじみとお互いに心のふれ合うものがあった。....