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葉桜
「葉桜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
葉桜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十円札」より 著者:芥川竜之介
あゆ》を一尾《いっぴき》つけた!
初夏の夕明《ゆうあか》りは軒先に垂《た》れた
葉桜の枝に漂《ただよ》っている。点々と桜の実をこぼした庭の砂地にも漂っている。保....
「死後」より 著者:芥川竜之介
。
古いくぐり門や黒塀《くろべい》は少しもふだんに変らなかった。いや、門の上の
葉桜の枝さえきのう見た時の通りだった。が、新らしい標札《ひょうさつ》には「櫛部寓....
「手紙」より 著者:芥川竜之介
。西日《にしび》を受けたトタン屋根は波がたにぎらぎらかがやいています。そこへ庭の
葉桜《はざくら》の枝から毛虫が一匹転げ落ちました。毛虫は薄いトタン屋根の上にかす....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
年紀《としごろ》は二十三、四、姿はしいて満開の花の色を洗いて、清楚《せいそ》たる
葉桜の緑浅し。色白く、鼻筋通り、眉《まゆ》に力みありて、眼色《めざし》にいくぶん....
「世相」より 著者:織田作之助
ように陳述している。 「……私が最初にあの女に会うたのは昨年の四月の末、覚王山の
葉桜を見に行き、『寿』という料亭に上った時です。あの女はあそこの女中だったのです....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
具まわる。――と、向島土手の場。正面は隅田川を隔てて向う河岸をみたる遠見、岸には
葉桜の立木。かすめて浪の音、はやり唄にて道具止まる。――と、下手より以前の老人と....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
を出て吾妻橋の方角へ引っ返すと、日ざかりの暑さはいよいよ夏らしくなったので、彼は
葉桜の下を択《よ》って歩いた。水戸の屋敷の大きい椎《しい》の木がもう眼の前に近づ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
中で番傘を買って、竹屋の渡しを渡って堤《どて》へ着くと、雨はだんだんに強くなって
葉桜の堤下はいよいよ暗くなった。 もう午《ひる》に近いので、かれは堤下の小料理....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
方角へ行ったというのを頼りに、半七は向島の方へまた急いだ。 雨はもう止んだが、
葉桜の堤は暗かった。水戸の屋敷の門前で、幸次郎のぼんやりと引っ返して来るのに出逢....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
、古い幟や新しい幟が七、八本も立ちならんで、女や子供が表看板をながめているのが、
葉桜のあいだに見いだされた。小屋のなかでは鉦や太鼓をさわがしく叩き立てていた。和....
「四次元漂流」より 著者:海野十三
所までくると、何かただならぬ空気のただよっているのに気がついた。 緑あざやかな
葉桜の並木、白い小石を敷きつめた鋪道、両側にうちつづいた思い思いの塀、いつもは人....
「獏鸚」より 著者:海野十三
もなかったのである。 3 桜の名所の玉川べりも、花はすっかり散って、
葉桜が涼しい蔭を堤の上に落していた。そうだ、きょうからもう五月に入ったのだ。 ....
「鐘ヶ淵」より 著者:岡本綺堂
の三上は、若輩の福井に対してまことに面目ない男になったのである。 三上は大原を
葉桜の木かげへ招いで、小声で言い出した。 「福井はほんとうに鐘を見付けたのだろう....
「夢のお七」より 著者:岡本綺堂
に飲む治三郎もしまいには酔い倒れてしまった。 大仏の八つ(午後二時)の鐘が山の
葉桜のあいだから近くひびいた。 「もう帰ろう。」と、一同は立上がった。 治三郎....
「唇草」より 著者:岡本かの子
従弟は私の稽古先のハープの師匠の家へ私を訪ねて来て、そこから連れ立って、山の手の
葉桜がまばらに混る金目黐垣が、小さい白い花を新芽の間につけている横町を歩きながら....