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「葛餅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

葛餅の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
一夜」より 著者:夏目漱石
蟻は灰吹《はいふき》を上りつめて絶頂で何か思案している。残るは運よく菓子器の中で葛餅《くずもち》に邂逅《かいこう》して嬉しさの余りか、まごまごしている気合《けわ....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
三、五年この方は花も少く、房も短くはなったが、なお且つ冠たるを得べく、殊に名物の葛餅、よそでは喰べられぬ砂糖加減である。お土産の張子の虎や眼なし達磨、これも強ち....
夏目漱石先生の追憶」より 著者:寺田寅彦
雅なもののように思われた。いつでも上等の生菓子を出された。美しく水々とした紅白の葛餅のようなものを、先生が好きだと見えてよく呼ばれたものである。自分の持って行く....
怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
かゝり、エイと左の肩より胸元へ切付けましたから、斜に三つに切られて何だか亀井戸の葛餅のように成ってしまいました。若侍は直と立派に止めを刺して、血刀を振いながら藤....
夜の靴」より 著者:横光利一
酸が下って来ては死が内部から近づいて来ているようなものである。びいどろ色をした、葛餅色の重なった山脈の頂に日が射していて、そこだけほの明るく神のいたまうような気....
四十八人目」より 著者:森田草平
二十ばかりの女中がそばへやってきて、 「お茶召しあがりませ」と言いながら、名物|葛餅の皿と茶盆とを縁台の端に置いて行った。 小平太は片手に湯呑を取り上げたまま....
黄泉から」より 著者:久生十蘭
り、小笹の藪には小さな瓢箪と酸漿《ほおずき》がかかっていた。巻葉を添えた蓮の蕾。葛餅に砧巻。真菰で編んだ馬。蓮の葉に盛った団子と茄子の細切れ……祖母がさあさあ、....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
から「おい、おい」とお呼びになります。「はい」と答えて、急いで上りましたら、 「葛餅が来たよ。お食べ。」 お婆さんの傍にある手桶の水で手を洗い、さて坐って見ま....
高原の太陽」より 著者:岡本かの子
青年は云った。 「この池に懸け出した藤棚の下の桟敷の赤い毛布の上で、鯉を見ながら葛餅を喰べるのが、ここへ来た記念なのですが、あまり人が混んでますから、別の所へ行....
食道楽」より 著者:村井弦斎
○吃逆の時には本文の外に砂糖湯を飲みても功験あり。 第二百二十四 西洋の葛餅《くずもち》 男同志の談話《はなし》がとかくむずかしきに飽《あ》きけん、玉....
食道楽」より 著者:村井弦斎
ラマンジに添えて食べるとなお一層の御馳走になります。 第七十六 ブラマンジ は葛餅《くずもち》に似たようなもので先ず一合の牛乳を沸かして大匙二杯の砂糖を加えま....
舌のすさび」より 著者:吉川英治
る。食パンに黒蜜をなすッたものである。ところがその蜜にまたいいのが少ない。そこで葛餅では古舗の名のある亀戸の船橋屋から蜜だけ時々もらってそれをやる。クズモチ屋の....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
もまだ張り子の亀の子は売っている。」 僕等は「天神様」の外へ出た後「船橋屋」の葛餅を食う相談した。が、本所に疎遠になった僕には「船橋屋」も容易に見つからなかっ....