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葭簀
「葭簀〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
葭簀の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「魚河岸」より 著者:芥川竜之介
も腰掛けも、ニスを塗らない白木《しらき》だった。おまけに店を囲う物は、江戸伝来の
葭簀《よしず》だった。だから洋食は食っていても、ほとんど洋食屋とは思われなかった....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
あ、日が落ちかかると、やっぱり寒い」 稲荷のやしろに参詣して、二人はそこにある
葭簀《よしず》張りの掛茶屋にはいった。もうそろそろと店を仕舞いにかかっていた女房....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
、犬は吠えやがる。往来なかに突っ立っているのも気がきかねえから、海端のあき茶屋の
葭簀《よしず》の中へはいって、積んである床几《しょうぎ》をおろして腰をかけている....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
を検分に出た。やがてもう五ツ(午前八時)に近いころに、高輪の海辺へさしかかると、
葭簀張りの茶店に腰をかけて、麻裏草履を草鞋に穿きかえている年頃二十七八の小粋な男....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
う。試みに一皿を買えば、あたい八厘。 花をさそう風は梢をさわがして、茶店の軒も
葭簀も一面に白い。わたしは悠然として心太を啜る。天海僧正の墓のまえで、わたしは少....
「春昼」より 著者:泉鏡花
顔色で、指を持余した、塩梅な。 これを機会に立去ろうとして、振返ると、荒物屋と
葭簀一枚、隣家が間に合わせの郵便局で。其処の門口から、すらりと出たのが例のその人....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
の下へ白浪が打寄せる――江の島と富士とを、簾に透かして描いたような、ちょっとした
葭簀張の茶店に休むと、媼が口の長い鉄葉の湯沸から、渋茶を注いで、人皇何代の御時か....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
二 その女学校の門を通過ぎた処に、以前は草鞋でも振ら下げて売ったろう。
葭簀張ながら二坪ばかり囲を取った茶店が一張。片側に立樹の茂った空地の森を風情にし....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
甍の棟は、玉を刻んだ峰である。 向って鳥居から町一筋、朝市の済んだあと、日蔽の
葭簀を払った、両側の組柱は、鉄橋の木賃に似て、男も婦も、折から市人の服装は皆黒い....
「恨みの蠑螺」より 著者:岡本綺堂
帳を当て込みの休み茶屋が幾軒も店をならべていた。もとより臨時の掛茶屋であるから、
葭簀がこいの粗末な店ばかりで、ほんの一時の足休めに過ぎないのであるが、若い女たち....
「悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
西は海老取川を隔て云々、大層賞めて書いてある。 この境内の玉川尻に向った方に、
葭簀張りの茶店があって、肉桂の根や、煎豆や、駄菓子や、大師河原の梨の実など並べて....
「唇草」より 著者:岡本かの子
するように見えた。畑の一部にある金蓮花はほとんど苅り取られ、園の苗床に冠せてある
葭簀や、フレームの天井は明るみ切って、既に夏になり切っている。 腐葉土の醗酵し....
「瘤」より 著者:犬田卯
、それさえ行き悩みつつあったのに、今度はさらに何万かを加算しての新築案。 「また
葭簀の壁の学校こしらえて一と儲けする気か知れねえが、もうみんな、黙っちゃいめえで....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
さな帳場格子の内から衝と浴衣の装で立つと斉しく、取着に箪笥のほのめく次の間の隔の
葭簀を蓮葉にすらりと引開けて、ずっと入ると暗くて涼しそうな中へ、姿は消えたが、や....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
したものは「御維新」前には行き倒れとか首くくりとかの死骸を早桶に入れその又早桶を
葭簀に包んだ上、白張りの提灯を一本立てて原の中に据えて置くという話だった。僕は草....