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「蒲団〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

蒲団の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
とに婦人雑誌の新年号をひろげ、何か読み耽《ふ》けっているらしかった。玄鶴はやはり蒲団《ふとん》の側の褌のことを考えながら、薄目《うすめ》に甲野を見守っていた。す....
河童」より 著者:芥川竜之介
病院を尋ねてみるがよい。年よりも若い第二十三号はまず丁寧《ていねい》に頭を下げ、蒲団《ふとん》のない椅子《いす》を指さすであろう。それから憂鬱《ゆううつ》な微笑....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
かがのったように、夜着の裾がじわりと重くなった。小犬はまだ生きていた時分、彼女の蒲団の上へ来ては、よくごろりと横になった。――ちょうどそれと同じように、柔かな重....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
り異性を感じながら、妙に無愛想《ぶあいそう》な会釈《えしゃく》を返した。それから蒲団《ふとん》の裾《すそ》をまわって、母の顔がよく見える方へ坐った。 お律は眼....
老年」より 著者:芥川竜之介
た後姿が見えるばかりである。 女の姿はどこにもない。紺と白茶と格子になった炬燵蒲団の上には、端唄《はうた》本が二三冊ひろげられて頸に鈴をさげた小さな白猫がその....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
》ない命を守らなければならぬ。見給え。鳥はもう静かに寐入《ねい》っている。羽根|蒲団《ぶとん》や枕《まくら》を知らぬ鳥は! 鳥はもう静かに寝入っている。夢も我....
海のほとり」より 著者:芥川竜之介
作のことを指《さ》すのだった。 Mの次の間《ま》へ引きとった後《のち》、僕は座蒲団《ざぶとん》を枕にしながら、里見八犬伝《さとみはっけんでん》を読みはじめた。....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
念でも凝らしているように見えたそうです。 さて次の間へ通った新蔵は、遠慮なく座蒲団を膝へ敷いて、横柄《おうへい》にあたりを見廻すと、部屋は想像していた通り、天....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
いた時には十一時を過ぎていた。妻は燃えかすれる囲炉裡火に背を向けて、綿のはみ出た蒲団《ふとん》を柏《かしわ》に着てぐっすり寝込んでいた。仁右衛門は悪戯者《いたず....
星座」より 著者:有島武郎
十月の始めだ。けれども札幌では十分朝寒といっていい時節になった。清逸は綿の重い掛蒲団を頸の所にたくし上げて、軽い咳《せき》を二つ三つした。冷えきった空気が障子の....
碁石を呑んだ八っちゃん」より 著者:有島武郎
のを僕に隠して泣かないような風をなさるんだ。 「兄さん泣いてなんぞいないで、お坐蒲団をここに一つ持って来て頂戴」 と仰有った。僕はお母さんが泣くので、泣くのを....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
」 農場の男は僕の客だというのでできるだけ丁寧にこういって、囲炉裏のそばの煎餅蒲団を裏返した。 その男はちょっと頭で挨拶して囲炉裏の座にはいって来たが、天井....
親子」より 著者:有島武郎
督はいつものとおり無表情に見える声で、 「いえなに……」 と曖昧に答えた。父は蒲団の左角にひきつけてある懐中道具の中から、重そうな金時計を取りあげて、眼を細め....
狂女」より 著者:秋田滋
はしょッちゅう寝かしっきりにされていて、身のまわりのこととか、化粧の世話とか、敷蒲団を裏返すような時でもなければ、誰も彼女をその蒲団のなかから引ッぱり出すような....
良夜」より 著者:饗庭篁村
張りたる襖しとやかに明きて清げなる小女茶を運び出でたり。忝けなしと斜に敷きたる座蒲団よりすべりてその茶碗を取らんとするとき、女はオオと驚くに予も心付きてヤヤと愕....