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蒸気船
「蒸気船〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蒸気船の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
ると、埠頭を海岸通の方へ引返した。 それから十五分ばかりして、ドレゴの乗った小
蒸気船が、港内浮標に繋留せられているグロリア号に近づいていった。 舷梯が下ろさ....
「鰊漁場」より 著者:島木健作
って修理箇所をさがして行く。「……コノ日、北風強ク時化トナル。鰊ヲ枠ヘ詰メ終リ小
蒸気船ニ曳カシメ××港内ニ避難ス。ソノ際、障害物ノ摩擦ニヨリ舳二反目ヲ約二尺スリ....
「玄海灘密航」より 著者:金史良
なって、お伽話のように景気のいいところと信じている内地へ渡ろうと、危かしい木船や
蒸気船にも構わず乗り込むことを云うのだから、度胸云々どころではなく、全く命がけ以....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
らず軒前に燈火をともし、まことにまことに大騒動にこれあり候。しかるところ、長州様
蒸気船二艘まいり、石火矢打ち掛け、逃げ行く異船を追いかけ二発の玉は当たり候由に御....
「十五年間」より 著者:太宰治
着け、生れてはじめて津軽の国の隅々まで歩きまわってみた。蟹田から青森まで、小さい
蒸気船の屋根の上に、みすぼらしい服装で仰向に寝ころがり、小雨が降って来て濡れても....
「恐竜島」より 著者:海野十三
は水があった。その水の上には大きな船が浮んでいた。 船といっても汽船ではない。
蒸気船でもない。帆船《はんせん》だ。もう二三百年もの昔、いやそれ以前の船にちがい....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
しかもその舟も、旧来の伝馬船《てんません》や荷足《にたり》ではなく、新式の舶来の
蒸気船だ、
蒸気船を山へ積み込むとは、なるほどこのごろの徳川幕府のやりそうなことだ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
》に片腕を置いてじっと前の卓上をながめている前には、長さ二尺に幅四寸ほどの小形の
蒸気船の模型が一つ置いてあります。 駒井甚三郎は、その
蒸気船の模型からしばしも....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
階段を降りて行った。 小さな箱のガタガタの電車にまたのりかえて、今度はポンポン
蒸気船に二時間近くゆられた。島や岬や入江の間を、油をながして船はすすんでゆく。都....
「二つの正月」より 著者:寺田寅彦
するにどちらも私にはかなりに官能的なものである。 時津から早岐まで、哀れげな小
蒸気船に乗っての大村湾縦走はただうすら寒い佗しい物憂さの単調なる連続としてしか記....
「無人島に生きる十六人」より 著者:須川邦彦
やつらだ。避難の入港だなぞといっているが、ホノルルへ入港するまえに、沿岸定期の小
蒸気船を、追いこしたというではないか。大しけにあったなんて、税金のがれのうそつき....
「話の種」より 著者:寺田寅彦
水上で端艇競漕のあった時、その時々刻々の景況を陸上に報ずるためテルマと名づくる小
蒸気船に無線電話機を載せて現場に臨ませた。これがおそらく無線電話の実用された最初....
「勧善懲悪」より 著者:織田作之助
田辺で遊んで来ますよ」 と、そわそわ出掛けて行ったきり、宿へ戻って来なかった。
蒸気船の汽笛の音をきいた途端に、逐電しやがったとわかり、薄情にもほどがあると、す....
「みやこ鳥」より 著者:佐藤垢石
て千住の大橋のたもとから、一銭蒸気に乗って吾妻橋へ出るのが、私の慣わしであった。
蒸気船が隅田川と綾瀬川の合流点を下流の方へ曲がる時、左舷から眺めると、鐘ヶ淵の波....
「舞子より須磨へ」より 著者:小川未明
を食べさせられた自分は、舞子の一泊を忘れることが出来ない。闇の中を青い火を点した
蒸気船が通る。彼方にいた、赤い小さな燈火が、いつか、目の前に来ている。 淡路島....