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蒸風呂
「蒸風呂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蒸風呂の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
気になって見ると林の間にある山桜も、辛夷《こぶし》も青々とした広葉になっていた。
蒸風呂のような気持ちの悪い暑さが襲って来て、畑の中の雑草は作物を乗りこえて葎《む....
「モスクワ印象記」より 著者:宮本百合子
、いきなり水をぶっかける。バッ! 水蒸気が立つ。忽ち水蒸気で室が一杯になる。その
蒸風呂で、スラヴの汗とあぶらをしぼるのだが、焼石に水をぶっかける時、こつがある。....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
月六日で、赤紙の日曜日となっている。 夜に入っても気温はそれほど下らず、艦内は
蒸風呂のような暑さだ。 この物語は、二番艦明石の艦内において始る。―― 天井....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
って来た。こういう風をこの封筒に入れてちょっと吹かせてあげとうございます。二階は
蒸風呂です。だもんで下にいて、些《いささ》か能率低下なの。家で夏をすごすのは四年....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
六二・〇九銭支払えばよろしいわけでしょう。
あついことね、この二階もややましな
蒸風呂です。
七月二十二日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
七....
「病中記」より 著者:寺田寅彦
「雲の話」の筆記を校正していた。一、二頁見ているうちに急に全身が熱くなって来た。
蒸風呂にでもはいったようで室内の空気がたまらなく圧しつけるように思われた。すぐに....
「幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
きくかも知れない。ならば一等上のたなにねたいものだ。」 するともう、さっそくに
蒸風呂のいちばん上のたなにねていました。ところで、着物を着たなり、長ぐつも、うわ....
「取舵」より 著者:泉鏡花
をも密封したれば、さらぬだに鬱燠たる室内は、空気の流通を礙げられて、窖廩はついに
蒸風呂となりぬ。婦女等は苦悶に苦悶を重ねて、人心地を覚えざるもありき。 睡りた....
「人生三つの愉しみ」より 著者:坂口安吾
住みついて動かなくなっているそうであるが、ここにも、病人のために造ったものらしい
蒸風呂の跡を見ることができるそうである。 田舎の湯治場の風俗は、又、石ブロとほ....
「環礁」より 著者:中島敦
空気は水分に飽和して重く淀《よど》んでいる。暑い。全く、どう逃れようもなく暑い。
蒸風呂にはいり過ぎたようなけだるさに、一歩一歩重い足を引摺《ひきず》るようにして....
「明治時代の湯屋」より 著者:岡本綺堂
東京の湯屋は白湯を主としていたのであるが、明治二十年頃から温泉、鉱泉、薬湯、
蒸風呂などの種類が殖えた。そのほかに江戸以来の干葉湯というのもあった。大体の構造....
「グーセフ」より 著者:神西清
…。辛いだろうよ。さぞ、辛いことだろうよ。」 船は揺れない。穏かだ。がその代り
蒸風呂にはいったように熱くて息苦しい。話しをするのはおろか、人の話しを聴くのさえ....