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蒼い
「蒼い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蒼いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
》うのだが。」
彼は泣きながら、心の底でこう呟いた。が、限りなく深い、限りなく
蒼い空は、まるでそれが耳へはいらないように、一尺ずつあるいは一寸ずつ、徐々として....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
ったそうですから、御|紛《まぎ》れになる事もありましたろうに。」
「ところが始終
蒼い顔をしては、つまらぬ愚痴《ぐち》ばかりこぼしていた。たとえば谷間の椿を見ると....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
円満、ただしその細君は三度目で、前の二人とも若死をして、目下のがまた顔色が近来、
蒼い。 と云ってあえて君子の徳を傷けるのではない、が、要のないお饒舌をするわけ....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
この伝説によると『自然の貞淑な娘』であるところのイルマタール(Ilmatar)が
蒼い空間の中に浮び漂うていた。そして折々気をかえるために海の波の上に下り立った、....
「海異記」より 著者:泉鏡花
引ずり出して、たたきつけたような、うようよとしたものよ。 どす赤いんだの、うす
蒼いんだの、にちにち舳の板にくッついているようだっけ。 すぽりと離れて、海へ落....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
く裸体ばかり。色ある女性の衣などは睫毛にも掛りませぬ。さりとも小僧のみぎりはの、
蒼い炎の息を吹いても、素奴色の白いはないか、袖の紅いはないか、と胴の間、狭間、帆....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
蓴菜に似た血のかたまりの、いまも流るるようである。 尖った嘴は、疣立って、なお
蒼い。 「いたましげなや――何としてなあ。対手はどこの何ものじゃの。」 「畜生!....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
う、月の光を廂で覆うて、両側の暗い軒に、掛行燈が疎に白く、枯柳に星が乱れて、壁の
蒼いのが処々。長い通りの突当りには、火の見の階子が、遠山の霧を破って、半鐘の形|....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
橋から、危く傾いた二階の廊下に、日も見ず、背後むきに鼠の布子の背を曲げた首の色の
蒼い男を、フト一人見附けたが、軒に掛けた蜘蛛の囲の、ブトリと膨れた蜘蛛の腹より、....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
、 「漆で塗ったようだ、ぼっと霧のかかった処は研出しだね。」 宵の明星が晃然と
蒼い。 「あの山裾が、左の方へ入江のように拡がって、ほんのり奥に灯が見えるでござ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
余所へ媒妁なさると聞いた時の、その女の心は、気が違うよりほかありません。」 と
蒼い顔で、また熟と視て、はっと泣きつつ、背けた背を、そのまま、土間へ早や片褄。そ....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
威すんだ。悪い梟さ。この森にゃ昔からたくさん居る。良い月夜なんぞに来ると、身体が
蒼い後光がさすように薄ぼんやりした態で、樹の間にむらむら居る。 それをまた、腕....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
垂れて、一つ、くるりと巻いたのは、蛸の脚、夜の色|濃かに、寒さに凍てたか、いぼが
蒼い。 二 涼しい瞳を動かしたが、中折の帽の庇の下から透して見た....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
と思うと、今度は降り坂になり、右に左にくねくねとつづらに折れて、時に樹木の間から
蒼い海原がのぞきます。やがて行きついた所はそそり立つ大きな巌と巌との間を刳りとっ....
「釣」より 著者:アルテンベルクペーター
慈悲深い貴夫人の顔は、それとは違って、風雨に晒された跡のように荒れていて、色が
蒼い。 貴夫人はもう誰にも光と温とを授けることは出来ないだろう。 それで魚に....