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蒼穹
「蒼穹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蒼穹の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「一灯」より 著者:太宰治
を叫んだ。あんなに浮かれた兄を、見た事が無い。 あのように純一な、こだわらず、
蒼穹《そうきゅう》にもとどく程の全国民の歓喜と感謝の声を聞く事は、これからは、な....
「富士」より 著者:岡本かの子
少しも動かなくなった。その拡ごりの隙より、今や見る土量の幅は天幅を閉《ふた》ぎて
蒼穹は僅かに土量の両|鰭《ひれ》に於てのみ覗くを許している土の巨台に逢着した。翁....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
だ、物の善き本性と 一つの神性とによりてこの醗酵は止みぬ。(注二) 陸と海、地と
蒼穹とは分たれ、 輝くエーテルと重き空気は分たれぬ。 かくて神がこの荒涼を分ちて....
「河明り」より 著者:岡本かの子
少し自棄気味になっていた。 すべてが噎るようである。また漲るようである。ここで
蒼穹は高い空間ではなく、色彩と密度と重量をもって、すぐ皮膚に圧触して来る濃い液体....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
萸が成っていて、萩や薄が生い茂っていた。潮の音も遠くはなかった。松の枝葉を洩れる
蒼穹も、都に見られない清さを湛えていた。庸三も田舎育ちだけに、大きい景勝よりも、....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
う、ひょう。 かあ、かあ。 ひょう、ひょう。 雲は低く灰汁を漲らして、
蒼穹の奥、黒く流るる処、げに直顕せる飛行機の、一万里の荒海、八千里の曠野の五月闇....
「古狢」より 著者:泉鏡花
地方だけに、ちょっと反感を持ったらしい。 いかにも、湖は晃々と見える。が、水が
蒼穹に高い処に光っている。近い山も、町の中央の城と向合った正面とは違い、場末のこ....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
でこぼこして、汽車を迎えるために撒かれた小さな水たまりが、藁屑と露西亜女の唾と、
蒼穹を去来する白雲の一片とをうかべているだけだった。 G氏の案内で構内食堂の隅....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
くはかげろうに燃え、遠くは煙霧にかすみ、人はみどりに酔い、靴は炎熱に汗ばみ、花は
蒼穹を呼吸し、自動車は薫風をつんざいて走り、自動車に犬が吠え、犬は白衣の佳人がパ....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
、じつはただ――出来るだけ悠然とこのチャアルス街角の入口をまたぎながら、雲のない
蒼穹――いまに私と彼女がそこへ行くのだ――と、テムズ河畔にいこう駄馬の列と、駄馬....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
くせに人間とぐるになって!――というように。 総立ちだ! 歓声、灼熱、陽炎、
蒼穹。 血と砂と音と色との一大交響楽。 獣類と人の、生死を賭した決闘。 上....
「困惑の弁」より 著者:太宰治
名を成そうという謂わば青雲の志を持って居られる。いささかの卑屈もない。肩を張って
蒼穹を仰いでいる。傷一つ受けていない。無染である。その人に、太宰という下手くそな....
「アッタレーア・プリンケプス」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
ったのです。そのガラス屋根ごしに、時おりは何かこう青い色が見えるのでした。それは
蒼穹でありました。見知らぬ国の、色あせた空ではありましたが、でもやっぱり青空には....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
なかったら、渠は、この山寺の石の壇を、径へ転落ちたに相違ない。 雛の微笑さえ、
蒼穹に、目に浮んだ。金剛神の大草鞋は、宙を踏んで、渠を坂道へ橇り落した。 清水....
「噴水物語」より 著者:岡本かの子
噴水にかかずらっていた。その後、二三度訪ねたが、ロジャー氏は屋根を天文台のように
蒼穹抜きにしてみたり、ステインド硝子を窓に嵌めたりしていた。新噴水を夫人の気に入....