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「蓄え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

蓄えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
に絶望していた。このことだけは今日もなお何か我我の心の底へ滲《し》み渡る寂しさを蓄えている。夢は既に地上から去った。我我も慰めを求める為には何万億|哩《マイル》....
星座」より 著者:有島武郎
かなかった。園はあの落ち着いた態度で書物の言葉の重さを一つずつ計りながら、そこに蓄えられている滋養分を綺麗に吸い取ってしまいそうに見えた。そして読み終えられた書....
デンマルク国の話」より 著者:内村鑑三
た。しかして戦争いまだ終らざるに彼はすでに彼の胸中に故国|恢復《かいふく》の策を蓄えました。すなわちデンマーク国の欧州大陸に連《つら》なる部分にして、その領土の....
三つのなぜ」より 著者:芥川竜之介
めだった。ソロモンはモアブ人、アンモニ人、エドミ人、シドン人、ヘテ人等の妃たちを蓄えていた。が、彼女等は何といっても彼の精神的奴隷だった。ソロモンは彼女等を愛撫....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
その中には凡ての偉人と凡ての聖人とを含み、凡ての哲学と科学、凡ての文化と進歩とを蓄えた宏大もない貯蔵場だ――と、現代の人類活動の諸相との集成から成り立っている。....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
ピントー以来日本に渡来した外人は数限りも無いが、真に学者として恥かしからぬ造詣を蓄えて、学術研究の真摯な目的を抱いて渡来し、大にしては世界の学界に貢献し、小にし....
火星探険」より 著者:海野十三
る。なお、燃料はどっちにしても十分ある。これは本館――いや本艇に予期以上の燃料が蓄えてあったことがわかったので、この点では心配ないと思う。食糧は燃料ほど十分では....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
まして、飛んだ失礼を致しました。」 人にも言わぬ積り積った苦労を、どんなに胸に蓄えておりましたか、その容体ではなかなか一通りではなかろうと思う一部始終を、悉し....
蜜柑」より 著者:芥川竜之介
小娘の気まぐれだとしか考えられなかった。だから私は腹の底に依然として険しい感情を蓄えながら、あの霜焼けの手が硝子戸を擡げようとして悪戦苦闘する容子を、まるでそれ....
頭髪の故事」より 著者:井上紅梅
出した。わたしの祖母がかつて語った。その時の人民ほど艱《つら》いものはない。髪を蓄えておけば官兵に殺される、辮子を付けておけば長髪賊に殺される。 どれほど多く....
妖怪学」より 著者:井上円了
のも再起し得るに至るべし。さらに、他の例によりてこれを証明するに、甲の場所に水を蓄えてこれを丁の方に流さんとするに、甲丁の路線より甲丙および甲乙の両路線の方、そ....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
屋の株を買って立派な旦那衆となっていた。天保の饑饉年にも、普通の平民は余分の米を蓄える事が許されないで箪笥に米を入れて秘したもんだが、淡島屋だけは幕府のお台を作....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
だ。スラヴ人は元来空想に耽る国民性だから、無教育者の中にも意外な推理力や想像力を蓄えて人生をフィロソファイズするものがある。露西亜は階級制度の厳重な国だから立派....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
洗礼室あり。小児の洗礼を行う所なり。 旧教の寺院にては、その入り口に水の少量を蓄えたる石器あり。参詣のもの、まず指をその水中に点じ、十字を胸にえがきて神前に近....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
寒の設備さほど厳ならず。けだし、冬期も比較的寒気の強からざるを知る。住民は長髯を蓄え、その風采一見ロシア人に似たり。当市の商業は、多大の魚類を輸出するのみ。また....