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蓄える
「蓄える〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蓄えるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文芸の哲学的基礎」より 著者:夏目漱石
明かで知的な意味も含んでおりましょうし、あるいは婉約《えんやく》の情、温厚な感を
蓄える事もありましょう。(知、情の理想が比較的顕著でないのは性質上やむをえません....
「作物の批評」より 著者:夏目漱石
ぬと云う事実も認め得るかも知れぬ――批評家は反対の趣味も同時に胸裏《きょうり》に
蓄える必要がある。 物理学者が物質を材料とするごとく、動物学者が動物を材料とす....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
、当時流行の猟虎の帽子をかぶり、羽ぶりのよい官員や実業家と肩をならべて、権妻でも
蓄えることを男の見栄のように競い合う人たちだからであった。東京の方に暮らした間、....
「大衆文芸作法」より 著者:直木三十五
もいいと思う。 要は、小乗に安んじないで、勉強して小説のための予備智識を豊富に
蓄えることだ。現状では日本の文壇も心細いこと甚だしい。 そこで、ではあらゆる種....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
あるが、静にそれを守り遂げる事が出来ないで、馴れない商売で損亡を招く者が多く、又
蓄える事を知らなかった人々は、急転直下して極端な貧窮状態に陥る外なかったのである....
「獄中生活」より 著者:堺利彦
リカンでただグルグルとやるのだから雑作はない。もちろん顔も剃ってくれる。特に髭を
蓄えることを願う者には許しておく。フケトリと鋏も、そこにおいてある。それで爪でも....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
の会では、俳諧や、絵画の研究の外に、いろいろ変った料理を味って、この方面の知識を
蓄えることも忘れなかった。 呉春は困った時には、島原の遊女が昵懇客へおくる艶書....
「明治のランプ」より 著者:宮本百合子
母は晩年までよく苦笑して話した。開発のことが終生頭についていた人であるから、金を
蓄える方面は一向に駄目で、島根へ、役人として袴着一人をつれて行っていた暮しの間で....
「人口論」より 著者:マルサストマス・ロバート
ら、松の内皮をパンに混入しなければならぬというほどの困窮も、一般に冬の食料として
蓄えることの出来るチイズや、塩バタや、塩肉や、塩魚や、ベイコンによって、緩和され....
「鰍の卵について」より 著者:佐藤垢石
妻川の上流では、鰍の卵を捜してこれを餌に用いるようになった。鰍の卵は塩漬けにして
蓄えるか、串にさし陽かげ干しにして
蓄えるのである。いまは、全国至るところ、山女魚....
「香魚と水質」より 著者:佐藤垢石
もう鰍の味を想い出すのである。 食品に、趣味嗜好を豊かにするのは、人生に滋情を
蓄えるものであろう。いまはちょうど新涼の候である。一茎の野菜にも心をそそいで、そ....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
屋の株を買って立派な旦那衆となっていた。天保の饑饉年にも、普通の平民は余分の米を
蓄える事が許されないで箪笥に米を入れて秘したもんだが、淡島屋だけは幕府のお台を作....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
んだのは又八だった。 法衣を返して、俗になったのもついこの間のこと。やがて髪を
蓄えるつもりの道心頭を、頭巾で巻いて、渋染の袖無。あれからすぐ夫婦して大坂を立ち....
「三国志」より 著者:吉川英治
軍馬二百余頭を、張飛に盗ませるとは何事だ。偽君子め! 汝は強盗を義弟として、財を
蓄える気か」 ひどい侮辱である。 玄徳は顔色を変えたが、身に覚えないことなの....
「随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
る」というのである。距離を作ることは一見敵を避けるように見えるが、実は、加速力を
蓄えるためであるから、木剣試合の場合などでは、殺すぞ、と宣言するのと同じである。....