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「蓊鬱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

蓊鬱の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
疑惑」より 著者:芥川竜之介
すまい》の上にある天主閣《てんしゅかく》を心に描かせた。昼見るといつも天主閣は、蓊鬱《おううつ》とした松の間に三層《さんぞう》の白壁《しらかべ》を畳みながら、そ....
沼地」より 著者:芥川竜之介
は、文字通り一顧さえも受けなかった事であろう。 その上不思議な事にこの画家は、蓊鬱《おううつ》たる草木を描きながら、一刷毛《ひとはけ》も緑の色を使っていない。....
神社合祀に関する意見」より 著者:南方熊楠
そこらの金を無理算段して神社の設備大いに挙がると称する諸社を見るに、すでに神林の蓊鬱《おううつ》たるなきゆえ、古えを忍ぶの神威を感ずのという念毛頭起こらず。あた....
初めて見たる小樽」より 著者:石川啄木
た自由の国土である。劫初《ごうしょ》以来人の足跡つかぬ白雲落日の山、千古斧入らぬ蓊鬱《おううつ》の大森林、広漠《こうばく》としてロシアの田園を偲《しの》ばしむる....
縮図」より 著者:徳田秋声
葉も思い出され、こごた辺を通過する時、汽車の窓から見える、新婦の生家である、あの蓊鬱した森のなかにある白壁の幾棟かの母屋や土蔵も目に浮かんだりして、ああいった人....
四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
えるようだ。眼に見えるようなは其而已でなく、其時ふッと気が付くと、森の殆ど出端の蓊鬱と生茂った山査子の中に、居るわい、敵が。大きな食肥た奴であった。俺は痩の虚弱....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
姿を追ったからである。 沼は、不忍の池を、その半にしたと思えば可い。ただ周囲に蓊鬱として、樹が茂って暗い。 森をくぐって、青い姿見が蘆間に映った時である。 ....
墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
んなものが出て来るどころではないのです。叢道の両側は、見上げるような山ばかりで、蓊鬱とした杉の木ばかり、聳えています。二時間歩いていても、三時間歩いても、人っ子....