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蓬
「蓬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蓬の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
の荒廃は、いよいよ、まのあたりに開けて来る。家と家との間に、草いきれを立てている
蓬原《よもぎはら》、そのところどころに続いている古築土《ふるついじ》、それから、....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
れる頃でございます。ふだんから釣の好きな私の甥は、五条の橋の下へ参りまして、河原
蓬《かわらよもぎ》の中に腰を下しながら、ここばかりは涼風《すずかぜ》の通うのを幸....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
十一
妾宅の新年は寂しかった。門には竹が立てられたり、座敷には
蓬莱《ほうらい》が飾られたりしても、お蓮《れん》は独り長火鉢の前に、屈托《くった....
「二人小町」より 著者:芥川竜之介
さい。あなたの欲しいものは何ですか? 火鼠《ひねずみ》の裘《かわごろも》ですか、
蓬莱《ほうらい》の玉の枝ですか、それとも燕《つばめ》の子安貝《こやすがい》ですか....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
が利《き》き悪《にく》い気もちになって、しばらくは入日《いりひ》の光に煙った河原
蓬《かわらよもぎ》の中へ佇《たたず》みながら、艶々《つやつや》と水をかぶっている....
「星座」より 著者:有島武郎
いたが、清逸は熱感があって座に堪えないので、軽く二杯だけむりに喰うと、父の自慢の
蓬茶《よもぎちゃ》という香ばかり高くて味の悪い
蓬の熱い浸液《しんえき》をすすりこ....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
、
(姉《ねえ》や、こえ、こえ。)といいながら気《け》だるそうに手を持上げてその
蓬々《ぼうぼう》と生えた天窓《あたま》を撫《な》でた。
(坊さま、坊さま?)
....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
川面へほんのり白く、すいすいと出て咲いていら、昼間見ると桃色の優しい花だ、はて、
蓬でなしよ。」 「石竹だっぺい。」 「撫子の一種です、常夏の花と言うんだ。」 ....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
けれども――丸潰れとなった。……以来、打続いた風ッ吹きで、銀杏の梢も大童に乱れて
蓬々しかった、その今夜は、霞に夕化粧で薄あかりにすらりと立つ。 堂とは一町ばか....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
して食わぬ。 最も得意なのは、も一つ茸で、名も知らぬ、可恐しい、故郷の峰谷の、
蓬々しい名の無い菌も、皮づつみの餡ころ餅ぼたぼたと覆すがごとく、袂に襟に溢れさし....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
うの隅へ急いで遁げました。正面に奥の院へ通います階段と石段と。……間は、樹も草も
蓬々と茂っています。その階段の下へかくれて、またよく見ました。寸分お違いなさらな....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
団扇を手にした、手拭を提げた漫歩の人通、行交い、立換って賑かな明い中に、榎の梢は
蓬々としてもの寂しく、風が渡る根際に、何者かこれ店を拡げて、薄暗く控えた商人あり....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
あッ、」 思わず、忍音を立てた――見透す六尺ばかりの枝に、倒に裾を巻いて、毛を
蓬に落ちかかったのは、虚空に消えた幽霊である。と見ると顔が動いた、袖へ毛だらけの....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
黒い板囲い、※と大きく胡粉で書いた、中空に見上げるような物置の並んだ前を通って、
蓬莱橋というのに懸った。 月影に色ある水は橋杭を巻いてちらちらと、畝って、横堀....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
答うもののあらざるを見て、遠山金之助|堪えかねたか、矩を踰してずッと入った。
蓬頭垢面、窮鬼のごとき壮佼あり、 「先生!」 と叫んで遠山の胸に縋りついた。 ....