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蔓
「蔓〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蔓の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「不思議な島」より 著者:芥川竜之介
い。
僕はこのサロンの隅の長椅子に上等のハヴァナを啣《くわ》えている。頭の上に
蔓《つる》を垂らしているのは鉢植えの南瓜《かぼちゃ》に違いない。広い葉の鉢を隠し....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
るのだった。
桶の上にのった女は、いつまでも踊をやめなかった。彼女の髪を巻いた
蔓《つる》は、ひらひらと空に翻《ひるがえ》った。彼女の頸に垂れた玉は、何度も霰《....
「路上」より 著者:芥川竜之介
って行きながら、格別気乗りもしていなさそうな声でこう云った。が、野村は細い眼鏡の
蔓《つる》を耳の後《うしろ》へからみつけると、相不変《あいかわらず》落着き払った....
「るしへる」より 著者:芥川竜之介
《でうす》、すでに悪魔の何たるを知らず、況《いわん》やまた、天地作者の方寸をや。
蔓頭《まんとう》の葛藤《かっとう》、截断《せつだん》し去る。咄《とつ》。
(大正七年八月)....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
はその流れに沿って、再び熊笹を掻き分けて行った。するとしばらくして向うの岸へ、藤
蔓《ふじづる》を編んだ桟橋《かけはし》が、水煙《みずけむり》と雨のしぶきとの中に....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
思想の変化を時々|窺《うかが》わせるのに過ぎぬものである。一本の草よりも一すじの
蔓草《つるくさ》、――しかもその
蔓草は幾すじも
蔓を伸ばしているかも知れない。
....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
きえ》などが、黒地に金《きん》の唐草《からくさ》を這《は》わせていると、その細い
蔓《つる》や葉がどうも気になって仕方がない。そのほか象牙《ぞうげ》の箸《はし》と....
「或る女」より 著者:有島武郎
んな心持ちは少しも見せないで、頭から肩へかけてのなよやかな線を風の前のてっせんの
蔓《つる》のように震わせながら、二三度深々とうなずいて見せた。
しばらくしてか....
「一房の葡萄」より 著者:有島武郎
上げて、僕の方を見ていられましたが、二階の窓まで高く這《は》い上《あが》った葡萄
蔓《ぶどうづる》から、一房《ひとふさ》の西洋葡萄をもぎって、しくしくと泣きつづけ....
「星座」より 著者:有島武郎
そしてそれは同時に清逸自身の存在を明瞭にし、それが縁になって、東京に遊学すべき手
蔓《てづる》を見出されないとも限らない。清逸は少し疲れてきた頭を休めて、手を火鉢....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
その時、一列に蒲鉾形に反った障子を左右に開けると、ランプの――小村さんが用心に
蔓を圧えた――灯が一煽、山気が颯と座に沁みた。 「一昨晩の今頃は、二かさも三かさ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
を自然に躍った、怪しき精のごとき南瓜の種が、いつしか一面に生え拡がり、縦横無尽に
蔓り乱れて、十三夜が近いというのに、今が黄色な花ざかり。花盛りで一つも実のない、....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
眼を円にして四辺を眺めた。 これなる丘と相対して、対うなる、海の面にむらむらと
蔓った、鼠色の濃き雲は、彼処一座の山を包んで、まだ霽れやらぬ朝靄にて、もの凄じく....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
になっていた。道の一方の、小川が森に流れこむほうの側には、樫や栗の木立に野葡萄の
蔓が厚くからみついて、あたりを洞穴のように真暗にしていた。この橋をわたるのは、世....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
の花の打ち乱れて、人まち顔なるも有り、青|無花果の、枝も撓わわに生りたる、糸瓜の
蔓の日も漏さぬまでに這い広がり、蔭涼しそうなるも有り、車行早きだけ、送迎に忙わし....