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蔦葛
「蔦葛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蔦葛の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「オシャベリ姫」より 著者:かぐつちみどり
、どんなにうるさくなくていいだろう」 と思いながらフト足もとを見ますと、一本の
蔦葛《つたかずら》が垂下《たれさが》って、ずうっと崖の下の家の側まで行っておりま....
「春の鳥」より 著者:国木田独歩
散歩がてらいつもこの山に登りました。 頂上には城あとが残っています。高い石垣に
蔦葛がからみついて、それが真紅に染まっているあんばいなど得も言われぬ趣でした。昔....
「闖入者」より 著者:大阪圭吉
一軒のものさびた別荘風の館がある。その名を、岳陰荘と呼び、灰色の壁に這い拡がった
蔦葛の色も深々と、後方遙かに峨々たる剣丸尾の怪異な熔岩台地を背負い、前方に山中湖....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
雨霧に覆われてからは、ただ足にまかせて密林のなかを彷徨いはじめた。泥濘は、荊棘、
蔦葛とともに、次第に深くなり、絶えず踊るような足取りで蟻を避けながら、腰までもも....
「画の悲み」より 著者:国木田独歩
けた。 水車は川向にあってその古めかしい処、木立の繁みに半ば被われている案排、
蔦葛が這い纏うている具合、少年心にも面白い画題と心得ていたのである。これを対岸か....
「大衆文芸作法」より 著者:直木三十五
の》小説は、僅かに、指折ってみて、中里介山の「大菩薩峠」(都新聞)、国枝史郎の「
蔦葛木曾桟《つたかずらきそのかけはし》」(講談雑誌)、白井喬二の「神変呉越草紙」....
「光と風と夢」より 著者:中島敦
た巨木が道を拒んでいる。攀上《よじのぼ》り、垂下り、絡みつき、輪索《わな》を作る
蔦葛《つたかずら》類の氾濫《はんらん》。総《ふさ》状に盛上る蘭類。毒々しい触手を....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
九 「……時に――雪の松明が二|把。前後に次第に高くなって、白い梟、化梟、
蔦葛が鳥の毛に見えます、その石段を攀じるのは、まるで幻影の女体が捧げて、頂の松、....
「人面瘡物語」より 著者:田中貢太郎
た。 草葺の家が巌の陰にあった。入口には枯枝の菱垣をしてあった。葉の赤くなった
蔦葛がそれに絡まっていた。かるさんの男は其の門口から入って往った。 竹縁をつけ....
「環礁」より 著者:中島敦
である。 巨大な榕樹《ようじゅ》が二本、頭上を蔽い、その枝といわず幹といわず、
蔦葛《つたかずら》の類が一面にぶらさがっている。 蜥蜴《とかげ》が時々石垣の蔭....
「国枝史郎氏の人物と作品」より 著者:小酒井不木
も知らなかったのである。それから「愛の十字架」とたしか同じ頃に、氏は講談雑誌に「
蔦葛木曾棧」の大作を発表されて最近まで続いていたが、これも私は、病気と闘うに忙し....
「三国志」より 著者:吉川英治
にさえぎられ、関中に出る四道、巴蜀へ通ずる三道も嶮峻巍峨たる谷あいに、橋梁をかけ
蔦葛の岩根を攀じ、わずかに人馬の通れる程度なので、世にこれを、 「蜀の桟道」と呼....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
る」 なるほど、加賀田川というのか、まもなく渓流の音が耳を打って来た。短いが、
蔦葛の桟橋がある。南宋画などによくある隠者の門といった風な山荘の灯を見たのは、そ....