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蔦蔓
「蔦蔓〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蔦蔓の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星女郎」より 著者:泉鏡花
に生え繁って、真直に杖ついた洋傘と、路の勾配との間に、ほとんど余地のないばかり、
蔦蔓も葉の裏を見上げるように這懸る。 それは可い。 かほどの処を攀上るのに、....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
の高い二階建ての洋館は、辺りの日本建築を見下すように見える。赤い煉瓦造りの壁面を
蔦蔓がたんねんに這い繁ってしまっている。棲家として一番落着きのある風情を感じさせ....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
うに軽く、押せば他愛もなくぐらぐらっと揺れるのである。森が揺れる。一本のうごきが
蔦蔓につたわって、やがて数百の幹がざわめくところは、くらい海底の真昆布の林のよう....
「真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
、此奴ア旨え、柄杓は有るか」
と手水鉢の柄杓を口に啣《くわ》えて、土手の甚藏が
蔦蔓《つたかつら》に掴まって段々下りて行くと、ちょうど松柏の根方《ねがた》の匍《....
「女坑主」より 著者:夢野久作
の日吉旅館の裏手に来た青年は、素早く前後を見まわして、警戒のないのを見定めてから
蔦蔓の一パイに茂り絡んだ煉瓦塀をヒラリと飛越えた。やはり案内を知っているらしい裏....
「暗黒公使」より 著者:夢野久作
這入った。 家は旧式赤|煉瓦造りの天井の高い平屋建で、狭い門口や縦長い窓口には
蔦蔓が一面にまつわり附いていた。その窓の上にある丸い息抜窓に色|硝子が嵌めてある....
「鼻の表現」より 著者:夢野久作
す。他の草木の根を覆えし、枝葉を枯らして自分のこやしにして終う一方、巻付いて来る
蔦蔓から、皮肉に食い込んで来る寄生植物までも引き受けて、共々に盛んに芽を吹き、枝....
「旅愁」より 著者:横光利一
は薄青い乾いた苔のへばっている石の面へ鼻をつけたり、爪で掻いてみたりした。羊歯や
蔦蔓の間から風化した切石が頭を擡げていた。肩の部分にあたる山梁を廻ると、小高い頭....