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「蕃椒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

蕃椒の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
縮図」より 著者:徳田秋声
しい、塩昆布や赤生薑のようなものを買わせ、朋輩芸者の前に出すのだが、きゃら蕗や葉蕃椒のようなものも、けんどんの隅に仕舞っておき、お茶漬のお菜にするのだった。 ....
足迹」より 著者:徳田秋声
、こまこました叔母の細工物を取り出して見ていた。縮緬の小片で叔母が好奇に拵えた、蕃椒ほどの大きさの比翼の枕などがあった。それを見ても叔母の手頭の器用なことが解っ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
内々でいろいろの物を買い調《ととの》えるのであります。 生姜《しょうが》や日光蕃椒《にっこうとうがらし》を買ってもらうものもあります。紙の将棋盤と駒を買っても....
浮雲」より 著者:二葉亭四迷
まず宜《よか》ッたが、次第にいぶし方に念が入ッて来て、果は生松葉《なままつば》に蕃椒《とうがらし》をくべるように成ッたから、そのけぶいことこの上なし。文三も暫ら....
栃の実」より 著者:泉鏡花
る。その頃、藁家の軒札には虎杖村と書いてあった。 ふと、軒に乾した煙草の葉と、蕃椒の間に、山駕籠の煤けたのが一挺|掛った藁家を見て、朽縁へ※道を向うへ切って、....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
据えていた、大島揃、大胡坐の熊沢が、ぎょろりと平四郎を見向いて言うと、笑いの虫は蕃椒を食ったように、赤くなるまで赫と競勢って、 「うはははは、うふふ、うふふ。う....
古狢」より 著者:泉鏡花
ど、可厭よ、私、こんな処で、腰掛けて一杯なんぞ。」 「大丈夫。いくら好きだって、蕃椒では飲めないよ。」 と言った。 市場を出た処の、乾物屋と思う軒に、真紅な....
小春の狐」より 著者:泉鏡花
にも入ろう。「あり候」に挨拶の心得で、 「おかみさん、この柿は……」 天井裏の蕃椒は真赤だが、薄暗い納戸から、いぼ尻まきの顔を出して、 「その柿かね。へい、食....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
ざいます、居酒屋、といった処で、豆腐も駄菓子も突くるみに売っている、天井に釣した蕃椒の方が、燈よりは真赤に目に立つてッた、皺びた店で、榾同然の鰊に、山家|片鄙は....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
、埃も立たない秋の空は水のように澄渡って、あちらこちら蕎麦の茎の西日の色、真赤な蕃椒が一団々々ある中へ、口にしたその葉巻の紫の煙を軽く吹き乱しながら、田圃道を楽....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
礼状はよこされましたが、お好きでしたか、どうですか。母は自分の好物だといって、葉蕃椒の佃煮などを送られましたが、きっとその方がよかったでしょう。 漬物もよく上....
野草雑記・野鳥雑記」より 著者:柳田国男
ると、命名の動機は赤いからであったことは明かであるが、北秋田の方では羽が赤いから蕃椒鳥だというに反して、東磐井郡では嘴が真紅で蕃椒に似ているからといい、鳩より小....