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蕩尽
「蕩尽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蕩尽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「捨児」より 著者:芥川竜之介
わらまち》に米屋の店を開いていましたが、株に手を出したばっかりに、とうとう家産を
蕩尽《とうじん》して、夜逃げ同様|横浜《よこはま》へ落ちて行く事になりました。が....
「勝負事」より 著者:菊池寛
ったことは、誰からとなく、薄々きき知っていたのですが、その財産が、祖父によって、
蕩尽されたということは、この時初めて、父からきいたのです。むろんその時は、父の話....
「春の鳥」より 著者:国木田独歩
の哀れなきょうだいの父親というは、非常な大酒家で、そのために命をも縮め、家産をも
蕩尽したのだそうです。そして姉も弟も初めのうちは小学校に出していたのが、二人とも....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
が、津多子様の御夫君押鐘博士は、御自身経営になる慈善病院のために、ほとんど私財を
蕩尽してしまいました。それなので、今後の維持のためには、どうあってもあの隻眼を押....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
と飯田千村役所との間を往復し、初志を貫徹するために前後四年を費やして、その資産を
蕩尽してもなお屈しないほどの熱心さであった。徳川幕府より僧侶に与えた宗門権の破棄....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
ころ手で一生を安楽に暮らした。その歿後、せがれは家産を守ることが出来ないで全部|
蕩尽、そのときに初めてこの秘密を他人に洩らした。(諧史) 海井 華亭県の....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
湯ノ湖を取り囲む自然生の石楠花の、いかに多く茂っていたかを、私に物語られ、今では
蕩尽されて、僅に残株を存するばかり、昔のおもかげは見る由もないと慨かれたが、小御....
「日本人の自然観」より 著者:寺田寅彦
代に一つか二つぐらいずつは、大八州国のどこかの浦べを襲って少なからざる人畜家財を
蕩尽したようである。 動かぬもののたとえに引かれるわれわれの足もとの大地が時と....
「連環記」より 著者:幸田露伴
前世因縁とも云うものであったか素晴らしく美しい可愛いものに見えて、それこそ心魂を
蕩尽されて終ったのである。蓋し又実際に佳い女でもあったのであろう。そこで三河の守....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
、実際の話だと断言していたよ。それに、死んだシャプリッツキイね――数百万の資産を
蕩尽して、尾羽打ち枯らして死んだ――あの先生が、かつて若いときに三十万ルーブルば....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
の者は、恐ろしい生存競争を見出し、また、パリーが使い道のない大小の才能をやたらに
蕩尽《とうじん》してることを見出したのであった。 二人の子供は落胆して、自分の....
「地上」より 著者:島田清次郎
ろう、女の方が肺患で死んでしまったのだ! ついで男が幾万という財産を相場と遊蕩で
蕩尽して朝鮮へ逃げて行ってしまったのだ! 己はもっと東京にいたかった。東京にいれ....
「審判」より 著者:カフカフランツ
人きりで働いているようなわけです。こうさびれた原因となったものは、もちろん、金の
蕩尽ばかりでなく、むしろ仕事の精力の
蕩尽なのです。訴訟のために何かをやろうとすれ....
「西航日録」より 著者:井上円了
とより害あり、飲酒また害なしというべからず。本邦人中、一代にして祖先以来の家産を
蕩尽するもの多きは、飲酒その主因ならざるはなし。ゆえに、シナ人に阿片の害を説くと....
「指環」より 著者:田中貢太郎
んな返事をして、病人を安心さして置いて、いよいよ未亡人が亡くなると、残りの財産を
蕩尽してしまった。女は母の命もあるし、すっかり山路を信頼して、山路のするままにし....