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蕩揺
「蕩揺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蕩揺の前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
新蔵はこの意外な吉報を聞くと同時に、喜びとも悲しみとも名状し難い、不思議な感動に
蕩揺《とうよう》されて、思わず涙を頬に落すと、そのまま眼をとざしてしまいました。....
「硝子戸の中」より 著者:夏目漱石
中に坐《すわ》っていた私は、まだ冬だ冬だと思っているうちに、春はいつしか私の心を
蕩揺《とうよう》し始めたのである。 私の冥想《めいそう》はいつまで坐っていても....
「木下杢太郎『唐草表紙』序」より 著者:夏目漱石
、客観的に翻訳すると色々な物象として排列されます。其内で私は歴史的に読者の過去を
蕩揺《とうよう》する、草双紙とか、薄暗い倉とか、古臭《ふるくさ》い行灯《あんどん....
「魔都」より 著者:久生十蘭
様子で厚いカーテンの向うで薄陽が照っている模様。
然しまだ加十の意識は夢の中に
蕩揺していて、醒めているのやら眠っているのやら、それさえも定かではない。ただ首と....
「彼等流浪す」より 著者:小川未明
びそれを最も近い故郷に見出したのだ。 「無産階級に祖国なし」げに、資本主義の波に
蕩揺されつゝ工場から工場へ、時に、海を越えて、何処と住居を定めぬ人々にとっては、....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
香にも隔絶されておられたので、小宰相のなみだの蒸れや、妊娠初期の女体の烈しい血の
蕩揺は、帝の渇きを医すにありあまる熱さであったろう。 夜半になると、ここを繞る....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
「おう、見えた」 「御使の迎えに行った船がもどって来るわ」 と、港いっぱいに
蕩揺している無数の船影のうえに、どよめきがわいた。 まさしくそれであろう。この....