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蕭殺
「蕭殺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蕭殺の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
く、ただ幾団が幾団に、絶えず接触して、吹き荒るる風と霧があるのみだ、宇宙におよそ
蕭殺の声といったら、高原の秋の風でもなければ、工場の烟突の悲鳴でもない、高山の霧....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
という一事を捕えたまではよかったが、その「快楽」を捕えたときは、君はすくなからず
蕭殺たる色相とデスペレートな気分とを帯びてるごとく見えたからである。快楽主義は君....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
窩人の住家には住む者がなく、従来賑やかであっただけにこうなった今はかえって寂しく
蕭殺の気さえ漂うのであった。 ある日、一匹の野狐が恐らく猟師にでも追われたので....
「雪の透く袖」より 著者:鈴木鼓村
凄風に搏たれて、ただ見る万山の紅葉は宛らに錦繍を列るが如く、到処秋景惨憺として、
蕭殺の気が四隣に充ちている候であった、殊にこの地は東北に師団を置きて以来、吾々が....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
や姫笹の戦ぎも交じって、全島、今朝から人もないような気配だった。 気のせいか、
蕭殺として、それが聞えた。長門領の山からひろがった白雲が、ちょうど中天の太陽を時....
「三国志」より 著者:吉川英治
んで、その夜、ひそかに鉄騎五百を従えて、城外へ抜けだした。 馬蹄をしのばせて、
蕭殺たる疎林の中を、忍びやかに進んで行った。万樹すべて葉をふるい落し、はや冬めい....
「三国志」より 著者:吉川英治
隘路にわたって、大小数千の石が、あたかも石人のように積んであります。そこに立つと
蕭殺たる風を生じ、鬼気肌に迫るものが覚えられまする」 陸遜はついに意を決して、....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
汰だ。 火いたずらも、時により危険極まる。 さなきだに、この辺は、赤城颪しの
蕭殺たる風土と人心を、あるがままにしている坂東平野の広茫なのだ。 古い荘園制度....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
が、そのいたましい血汐を泥土にした場所がこの辺とはいま知ったのである。と、俄に、
蕭殺たる風の傷みに胸を吹かれ、思わず口に念仏がついて出た。――またさらには、義貞....
「銀河まつり」より 著者:吉川英治
もない。必死なところだ。しめっぽい川辺の夜風も、山と山に狭ばめられた初秋の空も、
蕭殺とした墨いろの中に鬼気をもって、なんともいい難い悽愴という感は、むしろ今夜の....
「雲霧閻魔帳」より 著者:吉川英治
炎の舌が這ってきた。父の肩にしっかりと縋れッ」 朝霧に、夕霧に、一日まし、秋は
蕭殺と、恵那の高原から、人間の通う峠へも下りてくる。 もう一年余りは過ぎた。―....
「童話」より 著者:室生犀星
く茫々たる磧の草も末枯れて茜色に染まり、穂のあるものはとくに穂を吹かれてしまった
蕭殺たる景色であった。冬が起き上ったような物憂い寒々した腰つきが、川原一杯に感じ....