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「薄さ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

薄さの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
江口渙氏の事」より 著者:芥川竜之介
黒熱した鉄のような江口の性格から必然に湧いて来たような心もちがする。同じ病的な酷薄さに色づけられているような心もちがする。描写は殆谷崎潤一郎氏の大幅な所を思わせ....
星座」より 著者:有島武郎
た。今日の演説を座興も座興、一人の女を意識に上せて座興にしようとしている人見の軽薄さにはまったく腹が立った。第一似すぎるほど似ているのが癪《しゃく》に障《さわ》....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
出て来た。 茶色の帯を前結び、肩の幅広く、身もやや肥えて、髪はまだ黒かったが、薄さは条を揃えたばかり。生際が抜け上って頭の半ばから引詰めた、ぼんのくどにて小さ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
るから、蝶々も近づかない。赤蜻蛉もツイとそれて、尾花の上から視めている。……その薄さえ、垣根の隅に忍ぶばかり、南瓜の勢は逞しく、葉の一枚も、烏を組んで伏せそうで....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
踵で踏んで抜けた二頭の鬼が、後から、前を引いて、ずしずしずしと小戻りして、人立の薄さに、植込の常磐木の影もあらわな、夫人の前へ寄って来た。 赤鬼が最も著しい造....
荘子」より 著者:岡本かの子
あとから美しく着飾った少女が鼻の尖にちょんぼり白土を塗って入って来た。その白土の薄さは支那流の形容でいえば蠅の翼ほどだった。少女は客の前へ来てその白土に触れさせ....
猿飛佐助」より 著者:織田作之助
来るとしても、口をひらけば駄洒落か七五調、すまじきものは宮人気取った風流口調の軽薄さ。おまけに、自虐か自嘲か、われよりアバタを言い触らすとは、いっそ破れかぶれか....
役者の一生」より 著者:折口信夫
陥れられた女であり、その他にもいろいろそうした女出入りはあるけれども、そういう軽薄さというものは、昔の役者の集団式な性格なのだから、その点で源之助だけが所謂棘を....
あるニュウ・フェイスへの手紙」より 著者:岸田国士
題にのぼりました。あなたは、それについても、現代の詩人の不幸は、母国語の生命の稀薄さに在りと断言された。僕もその点は同感ですが、また一方、言葉に新しい生命を吹き....
十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
のは六十年輩の、長身、痩躯、童顔をした、威厳もあるが卑しさもあり、貫禄もあるが軽薄さもある、変に矛盾した風貌態度を持った、気味のよくない侍であった。主人田沼主殿....
善悪両面鼠小僧」より 著者:国枝史郎
りと濁って不愉快を極め聞く人をしてゾッとさせる。いわゆる先天的犯罪面でその残忍酷薄さは一見しただけで想像される。 「無礼者!」と乃信姫はキリリと柳眉を上げたもの....
二つの短い話」より 著者:ケネディパトリック
った時、その軍馬の銀の蹄鉄は半|吋の厚さがありました。この銀の蹄鉄が猫の耳ほどの薄さにすり減ればジェラルド太守は再び生きた人間の世界に戻ることが出来英国人と一つ....
雪の夜」より 著者:小林多喜二
売の女が彼を見知り変な顔をした。その写真には、不実ではないが、いかにも女らしい浅薄さで、相手の男と自分自身の本当の気持に責任を持たない女のためにまじめな男がとう....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
方はふりむきもせず、アベコベの方角へ散歩に行った石川淳という男のヤジウマ根性の稀薄さも珍しい。 散歩から戻ってみると、火事は益々大きくなっている。しかしヤジウ....
切捨御免」より 著者:坂口安吾
イホを公表したのであるか。 この公表もひどかったが、ジャーナリズムの無定見、軽薄さは、さらにヒドイものだと私は思った。 生き残った人々の首実検で、犯人らしく....