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薄っぺら
「薄っぺら〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
薄っぺらの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
を全く感じない上流の川の水は、言わばエメラルドの色のように、あまりに軽く、余りに
薄っぺらに光りすぎる。ただ淡水と潮水《ちょうすい》とが交錯する平原の大河の水は、....
「桜の樹の下には」より 著者:梶井基次郎
晩家へ帰って来る道で、俺の部屋の数ある道具のうちの、選《よ》りに選ってちっぽけな
薄っぺらいもの、安全剃刀の刃なんぞが、千里眼のように思い浮かんで来るのか――おま....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
取出して、気になるほど爪の伸びた、湯が嫌らしい手に短い延の銀|煙管、何か目出度い
薄っぺらな彫のあるのを控えながら、先ず一ツ奥歯をスッと吸って、寛悠と構えた処は、....
「軍用鼠」より 著者:海野十三
の景品のなかで、一番素敵な貴重なものだわよ」 と、幹事の谷夫人が、話の割合には
薄っぺらな白い西洋封筒に入ったものを持って梅ヶ枝女史の前に飛んできた。女史は少し....
「大阪発見」より 著者:織田作之助
んざい」と書いた大きな提灯がぶら下っている。 はいって、ぜんざいを注文すると、
薄っぺらな茶碗に盛って、二杯ずつ運んで来る。二杯で一組になっている。それを夫婦と....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
はまだ廿二三歳の町人風で、色の小白い痩せぎすの、小二才とか青二才とかいいそうな、
薄っぺらな男であったので、市兵衛も案に相違して、しばらく呆れてその顔をながめてい....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
、Fはそうではなかった。 「われわれを罠に掛けようなどとは駄目なことです。こんな
薄っぺらなドアなどは、わたしの足で一度蹴ればすぐにこわれます」 「おまえの手であ....
「虫喰い算大会」より 著者:海野十三
う。虫喰い算は、一度や二度解いたから、そのあとはもう興味索然とするような、そんな
薄っぺらなものではない。こうして二度三度四度とやりかえすために、本書にインキで書....
「勧善懲悪」より 著者:織田作之助
クロース背に黒文字で書名を入れた百四十八頁の、一頁ごとに誤植が二つ三つあるという
薄っぺらい、薄汚い本で、……本当のこともいくらか書いてあったが、……いや、それ故....
「東京文壇に与う」より 著者:織田作之助
、たかだか三百年来の江戸趣味の残滓に過ぎない。(中略)大体われ/\の文学が軽佻で
薄っぺらなのは一に東京を中心とし、東京以外に文壇なしと云う先入主から、あらゆる文....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
ゃありませんか。 言の綾もございますわ。朝顔の葉を御覧なさいまし、表はあんなに
薄っぺらなもんですが、裏はふっくりしておりますもの……裏を聞いて下さいよ。」 「....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
た。イカバッドが懸命になって逃げようとし、長い痩身を馬の頭の前にのりだすと、その
薄っぺらな洋服は空にぱたぱたひるがえった。 彼らはスリーピー・ホローへ曲る道に....
「縮図帖」より 著者:上村松園
。一冊ごとの枚数、厚さというものもべつに定めていないから大そう部厚いものから極く
薄っぺらなものまで雑多である。だからして格好もさまざまで、竪横いろいろの大きさに....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
時まで三十余年を経て来たのであるが、震災以後それがまたいつか廃止されて、今日では
薄っぺらな西洋紙に粗悪な印刷を施した、見るからに安っぽいプログラム式の物になって....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
に目立つほどの著しい変化は見られない。路面がアスファルトになったり、表構えだけの
薄っぺらな洋式建物が多くなったり、カッフェーやメリンス屋が多くなったりした位のも....