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「薄命〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

薄命の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
たのである。その評論家の揶揄《やゆ》を受けたのは、――兎に角あらゆる先覚者は常に薄命に甘んじなければならぬ。 制限 天才もそれぞれ乗り越え難い或制限....
或る女」より 著者:有島武郎
を引く種《たね》となって、葉子という名は、多才で、情緒の細《こま》やかな、美しい薄命児をだれにでも思い起こさせた。彼女の立ちすぐれた眉目形《みめかたち》は花柳《....
茶の本」より 著者:岡倉覚三
ど、世にも哀れなものはない。 どうして花はかくも美しく生まれて、しかもかくまで薄命なのであろう。虫でも刺すことができる。最も温順な動物でも追いつめられると戦う....
雛妓」より 著者:岡本かの子
迫り過ぎていて、その上、型を当てて描いたもののように濃く整い過ぎている。何となく薄命を想わせる眉であった。額も美しいが狭まっていた。 きょうは、髪の前をちょっ....
島原心中」より 著者:菊池寛
後の粉飾物を、生前彼女を苦しめ抜いた楼主に奪われなければならぬかと思うと、彼女の薄命に対する同情の涙が、僕の目の中に汪然と湧いて来るのを、どうすることもできなか....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
ければなりますまい。薄く短く致しましょう。そうして斑紋を着けましょう。帯運の相!薄命の相!」 パタパタと叩くような音がした。鋏で刻むような音がした。 「探せ探....
血液型殺人事件」より 著者:甲賀三郎
気づいたらしい事が、大へん恐ろしかったのです。私はやはり自決することにしました。薄命な妻は私の話を聞いて、一緒に死にたいといいました。私は遂にそれを許しました。....
悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
たら病気も快くなって、死なずに出世も出来たろうのに……」 慾は慾として、あわれ薄命なお玉の為に茶店のお嬶は泣いた。市助も泣いた。 海賊の娘は遂に旗本の奥方に....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
現出す 死後の座は金※秋水珠を留める涙 花は落ちて春山土|亦香ばし 非命|須らく薄命に非ざるを知るべし 夜台長く有情郎に伴ふ 犬山道節 火遁の術は奇に....
乳を刺す」より 著者:邦枝完二
ら、香奠を包んでくんねえ」 「はい」 伝七はそう云ったが、盂蘭盆に死んで行った薄命の女達を悼んだのであろう、その眼は涙に濡れていた。 常吉が、即日釈放されたのは云うまでもない。....
活人形」より 著者:泉鏡花
け込みし。その後は存ぜずと、呼吸つきあえず物語りぬ。 泰助は目をしばたたき、「薄命な御方だ、御心配なさるな。請合ってきっと助けてあげます。と真実|面に顕るれば....
五重塔」より 著者:幸田露伴
味方にするでもない、汝が手腕のありながら不幸せで居るというも知って居る、汝が平素薄命を口へこそ出さね、腹の底ではどのくらい泣いて居るというも知って居る、我を汝の....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
すことが大抵予想計画どおりにうまく行く人があります。世間では、前者を運に弱いとか薄命とか言うのに対して、後者を運に強いとか、又は人々は羨んで、悪運が強いとさえ悪....
父の出郷」より 著者:葛西善蔵
たので、私は雪子と名をつけてやった娘だった。私にはずいぶん気に入りの子なのだが、薄命に違いないだろうという気は始終していた。私は都会の寒空に慄えながら、ずいぶん....
魂の喘ぎ」より 著者:大倉燁子
しまれるかということを彼女は全く知らなかったんだね」 「不幸な人だなあ」 「美人薄命という言葉がぴったりくるね。唯一の希望である我が子は行方不明になる、その心痛....