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薄皮
「薄皮〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
薄皮の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あいびき」より 著者:ツルゲーネフイワン
れでて、二ツの半円を描いて、左右に別れていた。顔の他の部分は日に焼けてはいたが、
薄皮だけにかえって見所があった。眼《まな》ざしは分らなかッた、――始終下目のみ使....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
《そうい》ないと、いや、全くの事で。」
九
「およそ人間が滅びるのは、地球の
薄皮《うすかわ》が破れて空から火が降るのでもなければ、大海が押被《おっかぶ》さる....
「食魔」より 著者:岡本かの子
はじけた性質を人臆しする性質が暈しをかけている若者は何か人目につくものがあった。
薄皮仕立で桜色の皮膚は下膨れの顔から胸鼈へかけて嫩葉のような匂いと潤いを持ってい....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
った。曇った鏡が人を映すように男は鈍々と主人を見上げた。年はまだ三十前、肥り肉の
薄皮だち、血色は激したために余計紅いが、白粉を透して、我邦の人では無いように美し....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
青磁の菓子器に装ったようで、志の美しさ。 箸を取ると、その重った茄子が、あの、
薄皮の腹のあたりで、グッ、グッ。 一ツ音を出すと、また一つグッ、もう一つのもグ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
な、あの言種は。――宴会前で腹のすいた野原では、見るからに唾を飲まざるを得ない。
薄皮で、肉|充満という白いのが、妾だろう、妾に違いない。あの、とろりと色気のある....
「道成寺(一幕劇)」より 著者:郡虎彦
を撒いたような霧が、谷の底から這い上って、珍らしい夜明けが来たようだ。空の胸まで
薄皮を剥がれた肌のように生赤く、朝の風に苦しい息をついておるわ。依志子。(はじめ....
「開運の鼓」より 著者:国枝史郎
える不幸の餓鬼どもを賑わすことは出来なかった。米の磨汁を飲むものもあれば松の樹の
薄皮を引き※って鯣のようにして食うものもあり、赤土一升を水三升で解きそれを布の上....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
も、何日になっても開こうとはしないのです。 そうして、私の病いも、それと同時に
薄皮を剥がすように癒ってゆきました。 ところが、はじめて床を出た今朝、ふと気が....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
、果さなければならぬものと考えて、暗い絶望に閉ざされていたが、今では自分の眼から
薄皮が取れて、はじめてはっきりものが見えるような気がした。あの仕事をくりかえして....
「食指談」より 著者:佐藤垢石
い。 二 文化の大食会のときには、丸屋助兵衛というのが饅頭五十、羊羹七竿、
薄皮餅三十、茶十九杯をあおってナンバーワンとなり、次席が三升入りの大盃に酒六盃半....
「海豚と河豚」より 著者:佐藤垢石
は抜いて血を去り裏返してまた血をとる。脊骨のなかの血は針金を通して掃除し、肝臓は
薄皮を剥ぎ賽の目にするのだが、血管の血を去るには塩を厚くまぶすのである。塩は血を....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
豆腐をいれた皿にはめた黒い鉄の提げ手を取った。加奈子のショールの外へ出た丸い手の
薄皮にはほんのり枝を分けて透けて見える静脈が黄昏を感じて細くなってる。貧しい町を....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
。そしてそれが消え失せるまで、前の苦悩に引代え魂も融けるような恍惚が全身の皮膚の
薄皮の下まで匍い廻り、そのうれしさ、晴々しさ、私は涙のさんさんと落ちるに任せてい....
「呼ばれし乙女」より 著者:岡本かの子
、いくら名ざして来たとて妹の自分に任せようとする姉の陰性も嫌いだった。 姉は、
薄皮の瓜実顔に眉が濃く迫っている美人で、涙っぽい膨れ目は艶ではあるが、どんな笑い....