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薄茶
「薄茶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
薄茶の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「吉良上野の立場」より 著者:菊池寛
りになっては」と注意した。 八 上杉の付家老、千坂兵部が、
薄茶を喫し終ると、 「近頃、浅野浪人の噂をおききになりましたか」と、上野にいった....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
大黒をつまみあげると、自分の目の前になみなみとつがれてあった饗応《きょうおう》の
薄茶の中へ、容赦なくぼちょりとそれを落としこんだのです。と――なんたる不思議、い....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
左に控えた今ひとりのお茶坊主は、また結構やかなお茶道具一式を揃えて捧持しながら、
薄茶煎茶その時々の御上意があり次第、即座に進め参らすがその役目、そうしてうしろの....
「指」より 著者:佐左木俊郎
。彼女の肩に、無数の肩が突き当たり、擦り合って行った。鼠色の夏外套、鮮緑の錦紗。
薄茶のスプリング・コオト。清新な麦藁帽子。ドルセイの濃厚な香気。そして爽かな夜気....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
の星と澄んだその目許も、鯰の鰭で濁ろう、と可哀に思う。この娘が紫の袱紗に載せて、
薄茶を持って来たんです。 いや、御本山の御見識、その咽喉を聞きに来たとなると…....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
らびつ。ここにて謡えるなりき。釜かけたる湯の煙むらむらとたなびく前に、尼君一|人
薄茶の手前したまいぬ。謡の道|修するには、かかることもするものなり。覚えあれば、....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
いた、上に香炉を飾って、呼鈴まで行届き、次の間の片隅には棚を飾って、略式ながら、
薄茶の道具一通。火鉢には釜の声、遥に神路山の松に通い、五十鈴川の流に応じて、初夜....
「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
ition, scarce”(初版、稀覯」)の書の部類の片隅に入るかも知れない。
薄茶色のクロース表紙の本である。しかし、後に改版の際に多少改訂された個所は、大体....
「木曽の旅人」より 著者:岡本綺堂
痩せて尖った、しかも円い眼は愛嬌に富んでいる優しげな人物であった。頭には鍔の広い
薄茶の中折帽をかぶって、詰襟ではあるがさのみ見苦しくない縞の洋服を着て、短いズボ....
「赤格子九郎右衛門の娘」より 著者:国枝史郎
をかしげ、 「すこしどうも睡り過ぎるようだ。……毎晩お前の立ててくれるこの一杯の
薄茶を飲むと、地獄の底へでも引き込まれるようににわかに深い睡眠に誘われ、そのまま....
「光は影を」より 著者:岸田国士
持つて来ておいた、濃い紫地にナンド色のタテ縞のあるお召のアワセを着、そのうえに、
薄茶色の羽織をひつかけていた。 高原の強い日光の下でも、とけるひまなく降り積つ....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
なにも老人は痩せていて、そうしてそんなにも清気であった。無紋の黒の羽織を着して、
薄茶色の衣裳をまとっている。袴を避けた着流しである。大小はどうやら短いらしい、羽....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
て、父の部屋にした四畳半の茶室に行って見ましたら、松の鉢植や、鳥籠などを置いて、
薄茶を立てていられました。連れて行った子が指すのを見ますと、蜀山人の小さな戯画の....
「雪の夜」より 著者:織田作之助
自分を苦しめて来た男の顔かと、心は安らかである筈もなかった。眼の玉が濡れたように
薄茶色を帯びて、眉毛の生尻が青々と毛深く、いかにも西洋人めいた生々しい逞しさは、....
「棲霞軒雑記」より 著者:上村松園
花のうてなであり、この上もない花の極楽浄土である。 制作につかれると私は一服の
薄茶をたててそれをいただく。 清々しいものが体の中を吹き渡る……つかれはすぐに....