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薬籠
「薬籠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
薬籠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「世相」より 著者:織田作之助
、他愛もなく調子に乗っていたが、それがふと悲しかった。調子に乗っているのは、自家
薬籠中の人物を処女作以来の書き馴れたスタイルで書いているからであろう。自身放浪的....
「白髪小僧」より 著者:杉山萠円
い痛いと金切声をふり絞って、どうしても繃帯に触らせませぬ。青眼先生は仕方なしに、
薬籠の中から油薬を出して、繃帯一面に浸《し》ませて、こうやっておけば直《すぐ》に....
「食魔」より 著者:岡本かの子
に対し、檜垣の主人は西洋趣味の生々しさを誇った。かかるうち知識は交換されて互いの
薬籠中に収められていた。 いつでも意見が一致するのは、芸術至上主義の態度であっ....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
した策であるか、もしも治右が陰に動いて、破邪顕正の大役承わる大目付までをもおのが
薬籠中のものにしているとしたら、ゆめ油断はならぬ。おそらく将軍家の耳にも、身の潔....
「共軛回転弾」より 著者:海野十三
のいいところで発見、そこへベラントが特技を注ぎ込んで、たちまち鉛華をおのれたちの
薬籠中のものとしてしまったからである。 「旦那さまぐらい燻製ものに理解がおありに....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
しています。彼等が特に力を入れているのは言論です。彼等は今やわが幹部政治家をほぼ
薬籠中のものとすることに成功しそうです。そして今わが国民をも彼等の思う色彩に塗り....
「ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
人と話すためじゃない、外国の本を読むためだ、本を読んでかれの長所を取りもってわが
薬籠におさめればいい、それだけだ、通弁になって、日光の案内をしようという下劣な根....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
寄管轄でも、林家は三千五百石、比較にならない大身である。 で、専斎は衣服を整え
薬籠を持って玄関へ出た。 「深夜ご苦労にござります」儒者風の使者はこういって気の....
「戯作者」より 著者:国枝史郎
戸田侯の徒士となったり旗本邸を廻り歩いたり、突然医家を志し幕府の典医|山本宗英の
薬籠持ちとなって見たり、そうかと思うと儒者を志願し亀田|鵬斎の門をくぐったり、石....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
えてきたではないか。 源女だ源女だ歌ったのは源女だ! かつて一旦手に入れて、
薬籠の物にしはしたが、その持っている一大秘密を、まだ発見しないうちに秋山要介に横....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
の未熟な少女も未熟ながらみんな生かして使っており、見ばえとか効果というものを自家
薬籠中のものとしたシニセの安定感と申しましょうか。作者指導者に人材もいるのでしょ....
「今昔茶話」より 著者:国枝史郎
とんど師事するような態度で、ゴルチャコフに接し、その政治ぶりと外交ぶりとを自家の
薬籠にとり入れ、ゴルチャコフも、その真摯な若きビスマルクの態度に好感を寄せ、何か....
「屏風祭」より 著者:上村松園
このこ歩き廻っては、ずいぶんながいことかかって一枚一枚と他家秘蔵の屏風絵を自分の
薬籠に納めているわけである。 絵物語式の大屏風になると、一曲縮図をとるのに三年....
「チェーホフの短篇に就いて」より 著者:神西清
達の身のほとりに漂う。それは捕えがたい。……このニュアンスを、まんまと捕えて自家
薬籠中のものとしたマンスフィールドの心には、非常に聡明な女性が住んでいたのに違い....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
椿岳の画はかくの如く淵原があって、椿年門とはいえ好む処のものを広く究めて尽く自家
薬籠中の物とし、流派の因襲に少しも縛られないで覚猷も蕪村も大雅も応挙も椿年も皆椿....