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薮
「薮〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
薮の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「老年」より 著者:芥川竜之介
は、三味線の声さえ聞えず戸外《そと》も内外《うち》もしんとなった。きこえるのは、
薮柑子《やぶこうじ》の紅い実をうずめる雪の音、雪の上にふる雪の音、八つ手の葉をす....
「熊の出る開墾地」より 著者:佐左木俊郎
》って行った。 * 雄吾は猟銃を右手に引っ掴んで、がさがさと熊笹
薮の中を戻った。頭だけが興奮していて、脚にはほとんど感覚も力も無いような気がした....
「岩石の間」より 著者:島崎藤村
る。谷の一つの浅い部分は耕されて旧士族地を取囲《とりま》いているが、その桑畠や竹
薮《たけやぶ》を背《うしろ》にしたところに桜井先生の住居《すまい》があった。先生....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
笑止と、佐助は得意満面の、いやみな声を出して、 「やよ、五右衛門、その水遁の術、
薮をつついて、蛇を出したぞ。重ねた悪事の報いに、やがては、釜の油で煮られるその方....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
はい。 晃 お互いに朝寝の時―― 百合 知りませんよ。(莞爾俯向く。) 晃 煩く
薮蚊が押寄せた。裏縁で燻してやろう。(納戸、背後むきに山を仰ぐ)……雲の峰を焼落....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
惨さといったらありません。 食あたりだ。医師のお父さんが、診察をしたばかりで、
薮だからどうにも出来ない。あくる朝なくなりました。きらずに煮込んだ剥身は、小指を....
「古狢」より 著者:泉鏡花
うをたした時は、ここへ白い手が、と思う真中のは、壁が抜けて、不状に壊れて、向うが
薮畳みになっていたのを思出す。……何、昨夜は暗がりで見損ったにして、一向気にも留....
「野道」より 著者:幸田露伴
、そらまめの花、田境の榛の木を籠める遠霞、村の児の小鮒を逐廻している溝川、竹籬、
薮椿の落ちはららいでいる、小禽のちらつく、何ということも無い田舎路ではあるが、あ....
「氷河」より 著者:黒島伝治
かなければならないか、いずれかに決定されるのだった。 病気を癒すことにかけては
薮医者でも、上官の云ったことは最善を尽くして実行する、上には逆わない、そういう者....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
とは卑怯……妹ヨーッ」と十間二十間! 既に二町を街道から離れた。 行手に巨大な
薮があり、丘の如くに盛り上っていたが、その裾を巡って走って行く、陣十郎の後を追い....
「香熊」より 著者:佐藤垢石
のとき私は子熊に別れるのがつらさに、涙を流したのを記憶している。 その後、上州
薮塚温泉の背後に連なる広沢山の横穴で捕獲した穴熊の肉を食ったことがある。これは肉....
「小伜の釣り」より 著者:佐藤垢石
小学校五、六年頃になると、母親の眼を隠れては近くの池や川へ行くようになった。裏の
薮から、篠笹を切ってきて、それに母の裁縫道具の中から縫糸を持ち出して道糸をこしら....
「探巣遅日」より 著者:佐藤垢石
から冬一杯啼き続けていて、春がたち初午の祭りが過ぎると、急に啼きやむのだが、裏の
薮に、もずの声を四、五日も聞かないのに気がつくと、私ら少年はもうもずが巣をつくり....
「父の俤」より 著者:佐藤垢石
鈎の種類など選ぶ必要はないほど、数多い鮎が下流から遡ってきたのである。 竿は、
薮から伐り出したばかりの竹でもよく、場合によれば桑の棒でもこと足りた。近年のこと....
「人狼」より 著者:岡本綺堂
を切りて土瓶をかけ、傍らに粗朶籠などあり。庭には秋草など咲きて、上のかたには大竹
薮あり。下のかたには低き丸太の柱を立て、型ばかりの木戸あり。木戸の外には石の井戸....