藁蒲団[語句情報] » 藁蒲団

「藁蒲団〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

藁蒲団の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
思い出す事など」より 著者:夏目漱石
り佇ずまざるを得なかった。余は特に余のために造って貰った高さ一尺五寸ほどの偉大な藁蒲団《わらぶとん》に佇ずんだ。静かな庭の寂寞《せきばく》を破る鯉《こい》の水を....
鉄鎚」より 著者:夢野久作
院の玄関から、見舞人のような態度で上り込んで、奥の方に空《あ》いていた特等病室の藁蒲団の上に落ち付いた時であった。その時に彼女は今までにない高い情熱に駆られたら....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
兵士は高取だった。 後発部隊が到着した。寄宿舎は狭くなった。 ベッドもなく、藁蒲団もなく、床の上に毛布をのばして、ごった寝にねた。高粱稈のアンペラが破れかけ....
安重根」より 著者:谷譲次
着の眼で見守っている。 長い間。隣室の話声が高まる。廊下の戸があいて、寝台代りの藁蒲団と毛布を担いだ黄瑞露が顔を出す。 黄瑞露 柳さん、ちょっと手を貸して下さい....
一足お先に」より 著者:夢野久作
ならば、俺はチットばかり薬を持って来過ぎたな……と気が付いた。 その次には厚い藁蒲団と絹蒲団を高々と重ねた上に、仰向けに寝ている歌原未亡人の枕元に匍い寄って、....
心臓盗難」より 著者:海野十三
彼がおどろいたのはこの日蔽いではない。 その日蔽いの下にあたる舗石の上に、白い藁蒲団が敷いてあった。そしてその上に、やはり真白な毛布にくるまった一人の若い紳士....
ガリバー旅行記」より 著者:スウィフトジョナサン
で食事することになりました。部屋の真中に秣草桶を円く並べ、みんなはそのまわりに、藁蒲団を敷き、尻餠をついたように、その上に坐るのでした。そして、馬どもは、それ/....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
》、普通《なみ》の椅子、床几《しょうぎ》、腰掛け、羽蒲団《はねぶとん》、綿蒲団、藁蒲団《わらぶとん》、何にでもきまった金をかけておくことだ。鏡に映《うつ》った影....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
い出すのだ。そのほか、出入り口の穴を隠したり、日に二十遍も石を出したり入れたり、藁蒲団《わらぶとん》の中に漆喰《しっくい》の欠けをしまい込んだりするのは、言わず....
氷河」より 著者:黒島伝治
また別の傷病者がそのあとへやって来る。それがいなくなると、又次の者がやってくる。藁蒲団も毛布も幾人かの血や膿や汗で汚されていた。彼は、それをかむって、ひそかに自....
二都物語」より 著者:佐々木直次郎
の食糧と、彼の持っているランプとを、靴造りの腰掛台(その屋根裏部屋にはそれ以外に藁蒲団の寝台が一つあるだけだった)の上に置いた。それから彼とロリー氏とは囚人を呼....
金狼」より 著者:久生十蘭
ろには、五人の客が、明るい電灯の光の下で、ねっとりとかがやく血だまりを見ていた。藁蒲団をしみ通した血が、ポトリ、ポトリ、と床のうえにしたたるのがはっきりときこえ....
ロボットとベッドの重量」より 著者:直木三十五
の身体ぐるみ、じりじりと、自分の方へ引寄せて、両手で、胸を抱くように――右手は、藁蒲団《わらぶとん》ぐるみ、強烈な力で、引寄せかけた。 「よしっ、立って。」 ....
」より 著者:正岡子規
、石の上、板の上へ毛布一枚で寐たりという境涯であった者が、俄《にわか》に、蒲団や藁蒲団の二、三枚も重ねた寐台の上に寐た時は、まるで極楽へ来たような心持で、これな....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
ばかりのベッドが、奥への通路の赤い更紗のカーテンの傍にたった一つ、ベッドには白い藁蒲団に白い枕に白いカバー。 「簡素なものだな。」 だが向って右手の硝子窓には....