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藍
「藍〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
藍の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
今では、越《こし》の国の人が見るという蜃気楼《かいやぐら》のように、塔の九輪や伽
藍《がらん》の屋根を、おぼつかなく光らせながら、ほのかな明るみと影との中に、あら....
「春」より 著者:芥川竜之介
ょう》も制服の上に狐色《きつねいろ》になったクレヴァア・ネットをひっかけ、この伽
藍《がらん》に似た部屋の中をぶらぶら一人《ひとり》歩いていた。広子は彼の姿を見た....
「不思議な島」より 著者:芥川竜之介
船も五六日は碇泊《ていはく》しますから、ぜひ見物にお出かけなさい。大学もあれば伽
藍《がらん》もあります。殊に市《いち》の立つ日は壮観ですよ。何しろ近海の島々から....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
た覚えがある。その空は、彼が今まで見たどの空よりも、奥深く蒼く見えた。丁度大きな
藍《あい》の瓶《かめ》をさかさまにして、それを下から覗いたような心もちである。し....
「水の三日」より 著者:芥川竜之介
は三時ごろである。
鼠色《ねずみいろ》の壁と、不景気なガラス窓とに囲まれた、伽
藍《がらん》のような講堂には、何百人かの罹災民諸君が、雑然として、憔悴《しょうす....
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
。川をはさんだ山は紅葉と黄葉とにすきまなくおおわれて、その間をほとんど純粋に近い
藍色《あいいろ》の水が白い泡《あわ》を噴《ふ》いて流れてゆく。
そうしてその紅....
「野呂松人形」より 著者:芥川竜之介
っていた所へ来て坐った。Kと日本服を来た英吉利人との間である。
舞台の人形は、
藍色の素袍《すおう》に、立烏帽子《たてえぼし》をかけた大名である。「それがし、い....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
新大橋、永代橋《えいたいばし》と、河口に近づくに従って、川の水は、著しく暖潮の深
藍色《しんらんしょく》を交えながら、騒音と煙塵《えんじん》とにみちた空気の下に、....
「蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
い松の間を通り、引地川《ひきじがわ》の岸を歩いて行った。海は広い砂浜の向うに深い
藍色《あいいろ》に晴れ渡っていた。が、絵の島は家々や樹木も何か憂鬱《ゆううつ》に....
「少年」より 著者:芥川竜之介
は一面に赤い色を塗ることにした。浦島太郎は考えずとも好《い》い、漁夫の着物は濃い
藍色《あいいろ》、腰蓑《こしみの》は薄い黄色《きいろ》である。ただ細い釣竿《つり....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
た。古本屋の前の日だまりには馬車が一台止まっている。もっとも西洋の馬車ではない。
藍色《あいいろ》の幌《ほろ》を張った支那馬車である。馭者《ぎょしゃ》も勿論馬車の....
「運」より 著者:芥川竜之介
、恥しくないと思いましたがな。」
「惜しい事に、昔さね。」
青侍は、色のさめた
藍の水干《すいかん》の袖口を、ちょいとひっぱりながら、こんな事を云う。翁は、笑声....
「三つのなぜ」より 著者:芥川竜之介
午後、ファウストは林檎を見ているうちに一枚の油画を思い出した。それはどこかの大伽
藍にあった、色彩の水々しい油画だった。従って林檎はこの時以来、彼には昔の「智慧の....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
寂しさを感じた。しかし格別「今に見ろ」という勇気の起こることは感じなかった。薄い
藍色に澄み渡った空には幾つかの星も輝いていた。僕はこれらの星を見ながら、できるだ....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
したね。」 妻「お鶴さんの家はどうなったでしょう?」 僕「お鶴さん? ああ、あの
藍問屋の娘さんか。」 妻「ええ、兄さんの好きだった人。」 僕「あの家はどうだった....