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藤娘
「藤娘〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
藤娘の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「デカダン抗議」より 著者:太宰治
、やって来た。婆さんが一人、ねえさんが二人、半玉さんが二人である。半玉の一人は、
藤娘を踊った。すこし酒を呑まされたか、眼もとが赤かった。私は、その人を美しいと思....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
一 老人とわたしと差し向いで、五月の雨のふる日曜日を小半日も語り暮した。時節柄で亀戸の藤の噂が出た。藤の花から
藤娘の話をよび出して、それから大津絵の話に転じて、更に鷹匠のはなしに移る。その話....
「パンドラの匣」より 著者:太宰治
は、なぜだか、がっかりしたような気持で、元気の無い尋ね方をした。 「可愛いやろ?
藤娘や。しまっとき。」と姉のような、おとなびた口調で言って立ち去った。 僕は、....
「縮図」より 著者:徳田秋声
がて皮削ぎ庖丁や縫針で、胼胝の出来た手で、鼓や太鼓の撥をもち、踊りも、梅にも春や
藤娘、お座敷を間に合わせるくらいに仕込まれた。銀子は撫で肩の肩が少し厚ぼったく、....
「道標」より 著者:宮本百合子
、なかから、見事な本染めの振袖をつけ、肩に藤の花枝をかついで紅緒の塗笠をかぶった
藤娘が出て来た。瀬川は、一尺五六寸もあるその精巧な人形をカーメネ※夫人のデスクの....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
と新しく、これがそれ大津絵の初版物なんだ」 「大津絵どすか」 「大津絵といえば、
藤娘、ひょうたん鯰《なまず》、鬼の念仏、弁慶、やっこ、矢の根、座頭《ざとう》、そ....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
の好きな乳母は、それを大層喜んだけれど、母はあまり嬉しそうではなかった。かむろ、
藤娘、私は高い舞台ですぐに発表会に出演するようになった。 一方、ピアノは姉の方....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
前一安心でようございました。
林町の二人お送りしてかえって来ました。菊五郎の「
藤娘」なかなか見事であった由。特に音曲がよかったと、お母さんは素養がおありになる....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
の※たけた娘の姿を、そのまま取出して、巨石の床に据えた処は、松並木へ店を開いて、
藤娘の絵を売るか、普賢菩薩の勧進をするような光景であった。 渠は、空に恍惚と瞳....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
にくくり、塗の市女笠に、杖を持っていた。――その肩に藤の花を担わせたら、大津絵の
藤娘になりそうな――と人々はその優婉かな姿が、あしたからここに見られないのを惜し....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
る門は、大津絵をひさぐ室井半斎の店である。 「おじさん、今晩は」 藤を持たない
藤娘のようなのが不意にこういって入ってきたので、行燈と蚊やりを寄せ、夜業に絵の具....