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藪鶯
「藪鶯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
藪鶯の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
井戸から東へ二間ほどの外は竹藪で、形ばかりの四つ目垣がめぐらしてある。藪には今|
藪鶯がささやかな声に鳴いてる。垣根のもとには竜の髭が透き間なく茂って、青い玉のな....
「縮図」より 著者:徳田秋声
はなし腐ってしまい、椎の木に銀鼠色の嫩葉が、一面に簇生して来た。人気のない時は、
藪鶯が木の間を飛んでいたりして今まで自然の移りかわりなどに関心を持とうともしなか....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
た。暖い日は、甲州の山が雪ながらほのかに霞む。庭の梅の雪とこぼるゝ辺に耳珍しくも
藪鶯の初音が響く。然しまだ冴え返える日が多い。三月もまだ中々寒い月である。初午に....
「木蔭の椽」より 著者:宮本百合子
―― 今、若葉照りの彼方から聞えて来るその声は、私に、八月頃深い山路で耳にする
藪鶯の響を思い出させた。板谷峠の奥に、大きい谿川が流れて居る。飛沫をあげて水の流....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
でも俳句を宣伝して段々と同好者を生ずるに至った。 私はまた別に、宇和島人の土居
藪鶯氏は兼て知り合いで、これもその頃から俳句を始めたと聞いたので、この人の在勤し....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
居処なのである。寒竹の垣根つづきの細道を、寒竹の竹の子を抜きながらゆくと何処でか
藪鶯《やぶうぐいす》が鳴いている。カラカラと、辷《すべ》りのいい門の戸をあけると....
「小さな旅」より 著者:富田木歩
訊く。庭へ来て交るむ雀のあわたゞしさや手近い墓地に鳴き交わす雀共の賑わしさの中に
藪鶯が美しい音尻を引いては鳴くのである。 この家の裏に淡島寒月さんの居宅があっ....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
島から三里も来たころ、枝振よき栂の枯木を見つけて写生する。すぐ近くの笹の中では、
藪鶯が一羽二羽、ここに絵筆走らす旅人ありとも知らで、ささ啼きの声が忙しない。 ....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
。動物を飼っても知れるでないか。野放しの犬と教育した犬とはいずれが上等であるか。
藪鶯《やぶうぐいす》と飼った鶯とはいずれが妙音を発するだろうか。人に譬えても訓練....
「随筆 新平家」より 著者:吉川英治
世紀後の今日もまだ、おなじ余韻がどこかに聞こえるのではあるまいか。 いくさやみぬ
藪鶯も啼き出でよ 戦後の山村でこんな句を呟いた年の春から書き出して、「新・平家....
「野草雑記・野鳥雑記」より 著者:柳田国男
ように、鳥にも新たなる危険が多く、もう以前ほどは悠長でなくなっている。四十雀でも
藪鶯でも、来たかと思うとすぐに行ってしまって、遊んでいようとする心持が少しもない....
「狐」より 著者:永井荷風
の花は蒼白《あおしろ》く輝き、南天の実のまだ青い手水鉢《ちょうずばち》のほとりに
藪鶯《やぶうぐいす》の笹啼《ささなき》が絶間《たえま》なく聞えて屋根、軒《のき》....
「紅梅の客」より 著者:吉川英治
ったが、三人それぞれに、こんなことを書いてやったのをおぼえている。 いくさやみぬ
藪鶯も啼き出でよ 栄太郎へ 梅の戸へもと吉原の女客 ....