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藻抜け
「藻抜け〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
藻抜けの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「復讐」より 著者:夢野久作
寝をしたのだそうですが、あくる朝眼を醒ましてみると源次郎氏の姿が見えない。蒲団は
藻抜けの空になっているし、台所の戸口が一パイに開け放されて月あかりが映しているの....
「赤外線男」より 著者:海野十三
なんだって? 墓地を掘ったところ白木の棺が出た。そして棺の蓋を開いてみると、中は
藻抜けの殻で、あの轢死婦人の屍体が無くなっているッて! ウン、そりゃ本当か。……....
「柿色の紙風船」より 著者:海野十三
あーら、どこにもあの人、居ないわ。あたし、どうしましょう。ああーッ」 彼女は、
藻抜けの殻の寝台の上に身を投げかけると、あたり憚らずオンオン泣き出した。その奇妙....
「白妖」より 著者:大阪圭吉
――やア、どうも済みませんでした……で、車庫のほうはどうでした? やっぱり車庫は
藻抜けの空、それで……それで……なに、なんだって? お客さまが殺されている※……....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
あ――ア。キョロリキョロリとしているばかりじゃ。もとの姿は残っていても。元の心は
藻抜けの殻だよ。人の形をしているだけに。犬や猫より始末が悪いよ。情ないとも何とも....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
郎が、しまの広袖で、微酔で、夜具に凭れていたろうではないか。 正の肌身はそこで
藻抜けて、ここに空蝉の立つようなお澄は、呼吸も黒くなる、相撲取ほど肥った紳士の、....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
着。やがて渚に聞けば、しかも五つ紋で。――これは外套の頭巾ばかりを木菟に被って、
藻抜けたか、辷落ちたか、その魂魄のようなものを、片手にふらふらと提げている。渚に....
「白銀の失踪」より 著者:ドイルアーサー・コナン
、中にはハンタが椅子にうずくまって深い深い眠りに落ちているばかりで、白銀の厩舎は
藻抜けの殻で、ストレーカの姿も見えなかった。 馬具部屋の二階の乾草の中に眠って....
「白光」より 著者:井上紅梅
けたキンカ糖の塔のように、ガラリと崩れて、ただうず高き破片のみが余っていた。彼は
藻抜けの殻をぐるりと廻して知らず知らず家路に著いた。 彼はようやく自分の家の門....
「魔都」より 著者:久生十蘭
真名古捜査課長が古市加十がぶち込まれたという監房の扉を引き開けて見ると、その中は
藻抜けの殻。畳を起して見るほどの事はない、何しろ手狭なところだから、内部に人がい....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
ちゅうげんやっこ》が、遠くに駕籠をにらんで立っている。駕籠は駕籠だが、これはもう
藻抜けのかごだ。しかし、奥山からここまで女をつけて来るなんて、いったいこの男は何....
「水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
敵艇に突撃せんとした刹那、『アッ』と云う驚きの声が三人の口を突いて出た。艇の中は
藻抜けの殻だ――今まで敵だと思った人影は盗み出した品物を積み上げて、それに上衣を....
「ある恋の話」より 著者:菊池寛
な烈しい言葉を浴びせかけられたりしました。が、私は急に魂を奪われた人間のように、
藻抜けの殻の肉体だけが、舞台の上で操人形のように、周囲の人達の動くのに連れられて....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
……一の松、二の松、三の松に、天人の幻が刻まれて、その影が板羽目に錦を映しつつ、
藻抜けて消えたようなシテの手に、も一度肩を敲いて、お悦が拾って来た扇を渡したのが....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
映して、大窓の夜は明けた。有明の月が山の端から青白い顔をして覗いている、私の体を
藻抜け出た魂のかけらではないかと思った。今朝元気の無いのは其|所為であるかも知れ....