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蘆
「蘆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蘆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「尾生の信」より 著者:芥川竜之介
洲は、二坪ばかりの広さを剰《あま》して、すぐに水と続いている。水際《みずぎわ》の
蘆《あし》の間には、大方《おおかた》蟹《かに》の棲家《すみか》であろう、いくつも....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
ものは本所の町々には限らなかった。本も、――彼の小学時代に何度も熱心に読み返した
蘆花《ろか》の「自然と人生」やラボックの翻訳「自然美論」も勿論彼を啓発した。しか....
「文放古」より 著者:芥川竜之介
って見るってところもない始末なのよ。おまけにこの市《まち》の智識階級はやっと徳富
蘆花《とくとみろか》程度なのね。きのうも女学校の時のお友達に会ったら、今時分やっ....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
すと、また「摩利信乃法師《まりしのほうし》、摩利信乃法師」と云う囁き声が、丁度|
蘆《あし》の葉に渡る風のように、どこからともなく起ったのは、この時の事でございま....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
を強奪した話、又|腿《もも》に弾丸を受けた樊阿七《はんあしち》と言う副頭目を肩に
蘆林譚《ろりんたん》を泳ぎ越した話、又|岳州《がくしゅう》の或山道に十二人の歩兵....
「松江印象記」より 著者:芥川竜之介
千鳥城の天主閣を数えうることを、松江の人々のために心から祝したいと思う。そうして
蘆《あし》と藺《い》との茂る濠《ほり》を見おろして、かすかな夕日の光にぬらされな....
「貉」より 著者:芥川竜之介
を耳にした一人である。貉が唄を歌いますかの――こう云いながらも、媼はまたこれを、
蘆刈《あしか》りの男に話した。
話が伝わり伝わって、その村へ来ていた、乞食坊主....
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
枯草の間を沼のほとりへ出る。
黄泥《こうでい》の岸には、薄氷が残っている。枯
蘆《かれあし》の根にはすすけた泡《あぶく》がかたまって、家鴨《あひる》の死んだの....
「沼地」より 著者:芥川竜之介
蓊鬱《おううつ》たる草木を描きながら、一刷毛《ひとはけ》も緑の色を使っていない。
蘆《あし》や白楊《ポプラア》や無花果《いちじゅく》を彩《いろど》るものは、どこを....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
ながら両国の橋を通った時にも、大川は今のごとく、船宿の桟橋《さんばし》に、岸の青
蘆《あおあし》に、猪牙船《ちょきぶね》の船腹にものういささやきをくり返していたの....
「路上」より 著者:芥川竜之介
して初子《はつこ》の隣に同年輩の若い女が、紺地に藍の竪縞《たてじま》の着物の胸を
蘆手模様《あしでもよう》の帯に抑えて、品よくすらりと佇《たたず》んでいた。彼女は....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
の耳へも、人懐しい山鳩《やまばと》の声を送って来る事を忘れなかった。沢も芽ぐんだ
蘆《あし》と共に、彼の寂寥《せきりょう》を慰むべく、仄《ほの》かに暖い春の雲を物....
「或る女」より 著者:有島武郎
こいた》の上に肘《ひじ》を持たせて居ずまいをくずしてもたれかかった。古びを帯びた
蘆屋釜《あしやがま》から鳴りを立てて白く湯気の立つのも、きれいにかきならされた灰....
「東京に生れて」より 著者:芥川竜之介
例へば、大川にしても、僕が子供の時分には、まだ百本杭もあつたし、中洲界隈は一面の
蘆原だつたが、もう今では如何にも都会の川らしい、ごみ/\したものに変つてしまつた....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
よれば、今日よりも下流にかかっていた。僕は時々この橋を渡り、浪の荒い「百本杭」や
蘆の茂った中洲を眺めたりした。中洲に茂った
蘆は勿論、「百本杭」も今は残っていない....