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虚勢
「虚勢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
虚勢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
とをおかしみ笑える自分を、男に見せられなかったのを残念に思った。そこにすでに男の
虚勢を見透し、見透すがゆえに、余裕|綽々《しゃくしゃく》とした自分であることを男....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
ルへ連れて行かれた。 「さあ、どうぞ!」佐古はソファの方へ掌を出した。 豹一は
虚勢を張りながら、いきなりどすんと腰を下したが、スプリングがついていたので、危く....
「十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
わせて、ちょっと不安な表情をしたが、間もなく二人は胸を張り肘をつっ張って、しいて
虚勢を張りながら、第九室に通う戸口の前に立った。 バラは、なんとしたことか、案....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
を囲まれて、水路を断たれて、うんと貯えてあった米を馬の背中にざあざあ流して、敵に
虚勢をはって見せたという城あとの加治山。そこではまだ、頂上の狭い平地の赤土をちょ....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
佐子のような天女型の女性とは等匹できまい。交際えば悪びれた幇間になるか、威丈高な
虚勢を張るか、どっちか二つにきまっている。瘠我慢をしても僻みを立てて行くところに....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
ャフェでよく見かけますよ」と、薄い旅費で行脚的に世界一周を企て巴里まで来て、まだ
虚勢とひがみを捨て切らない或る老教育家が、かの女等の親子批判にいどみ込んで来た。....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
さほどの不信を持って居なかったのだけれど……。 海水着一つになった赫子は、例の
虚勢を声に張り上げて、海へ飛び込んだ。水泳もひどく得意のように話して居たが、これ....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
貴様の下手糞な笛など聴いておるものか」 いかにもしょんぼりした声だが、さすがに
虚勢を張って、佐助がそう言うと、三好は、 「ははあん。俺を救い出すと、こんどはお....
「ある抗議書」より 著者:菊池寛
ける人がありました。私は強盗でないかと思って、ハッと身構えました。私は、それでも
虚勢を張って、 「貴様こそ誰だっ!」と、怒鳴りました。 すると、闇の中から私に....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
。」さすがの夫人も、あなやという思いをして、胸をとどろかせているのに、なお平生の
虚勢を捨てないのだった。 「大丈夫でしょう。ねえ。」と、もう一度云うと、すっかり....
「光は影を」より 著者:岸田国士
めにわざわざ家を出るという酔狂を敢てする気もなかつた。彼は、平凡に、しかし、多少
虚勢を張つて、父の憲之に相談をもちかけた。 「ぼつぼつ、なにかしようつと思つて、....
「中毒」より 著者:織田作之助
ぼしたのだとは、考えたくなかったらしい。 「おれは酒で身を亡ぼしたのだ」 と、
虚勢を張っていた。 貧乏でも、何万円という酒がしみこんでいる身体のまま死ぬのが....
「夜光虫」より 著者:織田作之助
、にこりともせず言った。 その洒落がわからず、器用に煙草の輪を吹き出すことで、
虚勢を張っていると、 「――君はいくつや」 と、きかれた。 「十八や。十八で煙....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
し出てくるにきまっている。そこでわれわれがおぼろげながら察知しうることは、彼女が
虚勢を張り、闘っている間に、いままでの要素にさらに一つの新しい不吉な曖昧の要素が....
「魂の喘ぎ」より 著者:大倉燁子
思って遠慮していればつけ上って、と逆捩です。欺したのがばれたので耻しいからあんな
虚勢を張るのだ、浅間しい女とこっちは蔑視んで帰りました。それは公高が八才の時のこ....