虚心[語句情報] »
虚心
「虚心〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
虚心の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「外科室」より 著者:泉鏡花
ぬ。 医学士はと、ふと見れば、渠は露ほどの感情をも動かしおらざるもののごとく、
虚心に平然たる状《さま》露《あら》われて、椅子に坐《すわ》りたるは室内にただ渠の....
「新日本の進路」より 著者:石原莞爾
終戰論」の影響を受けていたことが誤解の原因と想像されるが、「最終戰論」は、これを
虚心に見るならば、斷じて侵略主義的、帝國主義的見解にあらず、最高の道義にもとづく....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
ダヴィンチの高潔にしてしかも恨み多き生涯を紹介的に書き初めた。 ある晩のこと、
虚心になって筆を走らせていると、吉弥がはしご段をとんとんあがって来た。 「………....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
げて、花を距てたむす子の顔を見た。ギャルソンに註文を誂えた後のむす子は画家らしい
虚心で、批評的の眼差しで、柱の柱頭に近いところに描いてある新古典派風の絵を見上げ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
その――一見、安らかな死の影とも思われるものは、同時にまた、不意の驚愕が起した、
虚心状態とも推察されるのだった。そして、死体の背窪を一杯に覆うて凝結した血が、指....
「わがまま」より 著者:伊藤野枝
た。もうひとりだと思うと、涙が溢れるように流れた、何の感情もない、ただ涙が出る、
虚心でいて涙が出る、――ゆるんだ疲れ切った空虚な心は、いつか自から流す涙を見つめ....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
余の珍らしい玩具や、江戸の貴重な資料を全部焼失したが、別して惜しいとは思わない。
虚心坦懐、去るものを追わず、来るものは拒まずという、未練も執着もない無碍な境地が....
「思い」より 著者:伊丹万作
と利益を唯一の目的として成立したものであつてみれば、彼らが利益を度外視して、真に
虚心坦懐に事をはかるというようなことは、実際問題として期待し得べきことかどうか、....
「歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
す事は出来ない。常臥しの身の、臥しながら見る幽かな境地である。主観排除せられて、
虚心坦懐の気分にぽっかり浮き出た「非人情」なのではなかろうか。漱石の非人情論は、....
「雪の夜」より 著者:織田作之助
そんなことがあってみれば、松本の顔が忘れられる筈もない。げんに眼の前にして、
虚心で居れるわけもない。坂田は怖いものを見るように、気弱く眼をそらした。 それ....
「妖怪学」より 著者:井上円了
の知覚を失せざるをもって、不覚筋動を現ずるに至るべき理なし。これ、不信仰者および
虚心平気の者には、コックリの回転を現ぜざるゆえんなり。これをもって、婦人および愚....
「迷信解」より 著者:井上円了
て方向を失い妄想を浮かべ、狐惑の状態に陥るは当然のことにて、毫も怪しむに及ばぬ。
虚心平気、知識に長じ、思慮の深き人には、いまだかつて狐惑にかかりしを聞かぬ。また....
「妖怪玄談」より 著者:井上円了
失せざるをもって、不覚筋動を現ずるに至るべき理なし。これ、知力に富みたる者および
虚心平気の者には、コックリの回転を見ることなきゆえんなり。婦人にても、これによく....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
ではないだろうが、三方四方の不平不満が一時に殺到する心的葛藤に忙殺されていては、
虚心|坦懐に沈着いて推敲鍜練していられないのが当然であった。恐らく書肆に対する義....
「動く絵と新しき夢幻」より 著者:小川未明
に形式的に出来上っているところの主義の為めの作物、主義の為めの批評と云うものは、
虚心平気で、自己対自然の時に感じた真面目な感じとは是非区別されるものと思う。 ....