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蚊
「蚊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蚊の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
風《あじろびょうぶ》の上へ、倒れかかって、その拍子にひっくり返ったものであろう、
蚊やりをたく土器《かわらけ》が、二つになってころがりながら、一面にあたりへ、燃え....
「河童」より 著者:芥川竜之介
その河童もぬらりとすべり抜けるが早いかいっさんに逃げ出してしまいました。ちょうど
蚊のようにやせた体《からだ》を倒れるかと思うくらいのめらせながら。
五
僕....
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
?」先生は即座に「夢窓《むそう》だろう」と答えた。
――すると急に目がさめた。
蚊帳《かや》の中には次の間《ま》にともした電燈の光がさしこんでいた。妻は二つにな....
「死後」より 著者:芥川竜之介
錠《じょう》の罎《びん》だのが並んでいる。その晩も僕はふだんのように本を二三冊|
蚊帳《かや》の中へ持ちこみ、枕もとの電燈を明るくした。
「何時《なんじ》?」
....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
った。その恰好《かっこう》は贔屓眼《ひいきめ》に見ても、大川の水へ没するよりは、
蚊帳《かや》へはいるのに適当していた。
空虚の舞台にはしばらくの間《あいだ》、....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
前へ来ると、浅草紙、亀《かめ》の子《こ》束子《だわし》、髪洗粉などを並べた上に、
蚊やり線香と書いた赤提燈が、一ぱいに大きく下っている――その店先へ佇《たたず》ん....
「或る女」より 著者:有島武郎
しく杉森《すぎもり》の中から小さな羽虫《はむし》が集まってうるさく飛び回り、やぶ
蚊がすさまじく鳴きたてて軒先に
蚊柱を立てているころだった。しばらく目で来た倉地が....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
は青み亘《わた》って、月の光が燐のように凡《すべ》ての光るものの上に宿っていた。
蚊《か》の群がわんわんうなって二人に襲いかかった。
仁右衛門は死体を背負ったま....
「星座」より 著者:有島武郎
いながら白石の父の賢明さを思い浮べた。父子で身にしみじみと話しこんで顔にとまった
蚊が血に飽きすぎて、ぽたりと膝の上に落ちるまで払いもせずにいたという、そういう父....
「田端日記」より 著者:芥川竜之介
る。その中にいつか、うとうと眠ってしまった。 眼がさめて見ると、知らない間に、
蚊帳が釣ってあった。そうして、それにあけて置いた窓から月がさしていた。無論電燈も....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
も海は海だ。風はなくとも夕されば何処からともなく潮の香が来て、湿っぽく人を包む。
蚊柱の声の様に聞こえて来るケルソン市の薄暮のささやきと、大運搬船を引く小蒸汽の刻....
「橋」より 著者:池谷信三郎
に思いきって両手を上げ、深呼吸をした拍子に、空中に幾万となく数知れず浮游していた
蚊を、鼻の中に吸いこんでしまった。彼女は顰め面をして鼻を鳴らし始めた。明るい陽差....
「幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
の役にあたりました。ああ、なんてむんむすることか。暑さに息がふさがるようでした。
蚊がぶん、ぶん、とんで来て刺しました。おもての「ミゼラビリ」は夢のなかでも泣きつ....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
のみにして、樹林無く、屋舎無く、人語馬声無く、一刻一刻、人間界より遠ざかる。唯、
蚊の襲来の多からざると、涼風衣袂に満ちて、日中の炎塵を忘るるとは、最も快適の至り....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
君が恐る恐る頚を上げて見ると女が本堂の奥に進んで行く。石川君の言によると「柱でも
蚊帳でも総てすうと通り抜けて行く」のであった。奥に寝ていた少女が泣出す。誰かが行....