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蚊帳
「蚊帳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蚊帳の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
?」先生は即座に「夢窓《むそう》だろう」と答えた。
――すると急に目がさめた。
蚊帳《かや》の中には次の間《ま》にともした電燈の光がさしこんでいた。妻は二つにな....
「死後」より 著者:芥川竜之介
錠《じょう》の罎《びん》だのが並んでいる。その晩も僕はふだんのように本を二三冊|
蚊帳《かや》の中へ持ちこみ、枕もとの電燈を明るくした。
「何時《なんじ》?」
....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
った。その恰好《かっこう》は贔屓眼《ひいきめ》に見ても、大川の水へ没するよりは、
蚊帳《かや》へはいるのに適当していた。
空虚の舞台にはしばらくの間《あいだ》、....
「或る女」より 著者:有島武郎
の一|隅《ぐう》に愛子がたわいもなくすやすやと眠っていた。うるさがるので貞世には
蚊帳《かや》をつってなかったが、愛子の所には小さな白い西洋
蚊帳がつってあった。そ....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
せんよ、町方《まちかた》ではね、上《かみ》の洞《ほら》の者は、里へ泊りに来た時|
蚊帳《かや》を釣《つ》って寝かそうとすると、どうして入るのか解らないので、梯子《....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
ふもと》へ着いたばかり。 織次は、小児心《こどもごころ》にも朝から気になって、
蚊帳《かや》の中でも髣髴《ほうふつ》と蚊燻《かいぶ》しの煙が来るから、続けてその....
「海異記」より 著者:泉鏡花
、秋のはじめが初産で、お浜といえば砂さえ、敷妙の一粒種。日あたりの納戸に据えた枕
蚊帳の蒼き中に、昼の蛍の光なく、すやすやと寐入っているが、可愛らしさは四辺にこぼ....
「田端日記」より 著者:芥川竜之介
る。その中にいつか、うとうと眠ってしまった。 眼がさめて見ると、知らない間に、
蚊帳が釣ってあった。そうして、それにあけて置いた窓から月がさしていた。無論電燈も....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
んが話しました。」 「私は酒はいけず、対手は出来ませんから、皆さんの車座を、よく
蚊帳の中から見ては寝ました。一時は随分|賑でした。 まあ、入かわり立かわり、十....
「女客」より 著者:泉鏡花
とをお言いなさんな、お民さん、阿母は行火だというのに、押入には葛籠へ入って、まだ
蚊帳があるという騒ぎだ。」 「何のそれが騒ぎなことがあるもんですか。またいつかの....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
恐かった、胸が躍って、圧えた乳房重いよう、忌わしい夢から覚めた。――浦子は、独り
蚊帳の裡。身の戦くのがまだ留まねば、腕を組違えにしっかと両の肩を抱いた、腋の下か....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
、もうちっと灯を点けないでおけよ。」 「へい。」 「覗くと煩いや。」 「それでは
蚊帳を釣って進ぜましょ。」 「何、おいら、直ぐ出掛けようかとも思ってるんだ。」 ....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
た処らしい。 可心の写本によると、奥の細道に、そんな記事は見えないが、 翁にぞ
蚊帳つり草を習ひける 北枝 野田山のふもとを翁にともないて、と前がきしたの....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
らず。関口からそれて飛ぶ蛍を追ざまに垣根に忍んで、おれを吸った藪ッ蚊が、あなたの
蚊帳へとまった、と二の腕へ赤い毛糸を今でも結えているこの若い衆、願くはそのおかえ....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
君が恐る恐る頚を上げて見ると女が本堂の奥に進んで行く。石川君の言によると「柱でも
蚊帳でも総てすうと通り抜けて行く」のであった。奥に寝ていた少女が泣出す。誰かが行....