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「蚊帳の外〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

蚊帳の外の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
浜菊」より 著者:伊藤左千夫
な」 細君は帰って終う。岡村が蚊帳を釣ってくれる。予は自ら蒲団を延べた。二人は蚊帳の外で、暫く東京なる旧友の噂《うわさ》をする、それも一通りの消息を語るに過ぎ....
箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
。「いくら叔父でも無法の成敗をしようとすれば、おれもこれを持っている」 外記は蚊帳の外へ手をのばして枕もとの刀を引き寄せた。遊女屋に大小は禁物で、腰の物はいつ....
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
》げると、頭上にある高代《たかよ》の二字が、外側へ折れているように見えて、自分が蚊帳の外にいるのではないか――と錯覚を起してしまうのです。ですから、外に出たと思....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
物凄くみえた。その蒼ざめた腮の下に黒くなめらかに光る鱗のようなものが見えたので、蚊帳の外から気味悪そうに覗いていた源次は、思わず顔をあとへ引いた。 半七は少し....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
三 文字春はその晩おちおち眠られなかった。撫子の浴衣を着た若い女が蚊帳の外から覗いているような夢におそわれて、少しうとうとするかと思うとすぐに眼が....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
敷のまえに止まって、だしぬけに障子をがらりとあけて這い込んで来た者があった。彼は蚊帳の外から声をかけた。 「大哥。多吉の大哥。すまねえが助けてくれ」 「誰だ」と....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
その何かを鼠に咬られでもしてはならないと思い付いて、かれは煙管を手に持ったままで蚊帳の外へくぐって出ると、物の触れ合うような小さい響きはまだ歇まなかった。 そ....
星あかり」より 著者:泉鏡花
た。 ひたと冷い汗になって、眼を※き、殺されるのであろうと思いながら、すかして蚊帳の外を見たが、墓原をさまよって、乱橋から由井ヶ浜をうろついて死にそうになって....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
分は父に望むのか。それを望むよりほか二人の生きて行く道はないのか……。 船虫が蚊帳の外の床でざわざわ騒ぐ。野鼠でも柱を伝って匍い上って来たのだろうか。小初は団....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
部さんの耳にきこえました。 「置いてけえ。」 かすかに眼をあいて見まわしたが、蚊帳の外には誰もいないらしい。やはり空耳だと思っていると、又しばらくして同じよう....
春昼」より 著者:泉鏡花
み浮いたよう、緑の雲にふっくりと沈んで、山の裾の、縁に迫って萌葱なれば、あま下る蚊帳の外に、誰待つとしもなき二人、煙らぬ火鉢のふちかけて、ひらひらと蝶が来る。 ....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
ものか知らん、余り変だ、と貴僧。 ここで心が定まりますと、何の事もない。行燈は蚊帳の外の、宵から置いた処にちゃんとあって、薄ぼんやり紙が白けたのは、もう雨戸の....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
う判然と、蚊帳の緑は水ながら、紅の絹のへり、かくて珊瑚の枝ならず。浦子は辛うじて蚊帳の外に、障子の紙に描かれた、胸白き浴衣の色、腰の浅葱も黒髪も、夢ならぬその我....
」より 著者:織田作之助
を火の粉のように飛んでいた。じっと聴きいっていた登勢はきゅうにはっと起き上ると、蚊帳の外へ出た。そして表へ出ると、はたして泣声は軒下の暗がりのなかにみつかった。....
」より 著者:岡本綺堂
だ、何だ。」 「あの、鼠が……。」 言ううちに、鼠はお此の衾の上を飛びおりて、蚊帳の外へ素早く逃げ去った。暗いなかではあるが畳を走る足音を聞いて、それが鼠であ....