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「蚕豆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

蚕豆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
不思議な島」より 著者:芥川竜之介
老人「ところが大学の教授などはサッサンラップ島の野菜になると、豌豆《えんどう》と蚕豆《そらまめ》も見わけられないのです。もっとも一世紀より前の野菜だけは講義の中....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
飯が済めばさっさと田圃へ出てしまう。 九 世は青葉になった。豌豆も蚕豆も元なりは莢がふとりつつ花が高くなった。麦畑はようやく黄ばみかけてきた。鰌と....
柿色の紙風船」より 著者:海野十三
だった。 「少し痛いが、辛抱しろよ」 と医務長は云った。なるほど手術は痛くて、蚕豆のような泪がポロポロと出た。 独房へ帰って来ても、痛くて起上れなかった。こ....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
三月のことだった。畠の、端々に、点々と一と株ずつ植えられた食わずの貝のような蚕豆の花が群がって咲きかけていた。親爺には一寸留守にしなければならない事件が起っ....
田舎教師」より 著者:田山花袋
校の花壇にもいろいろの草花が集められた。農家の垣には梨の花と八重桜、畠には豌豆と蚕豆、麦笛を鳴らす音が時々聞こえて、燕が街道を斜めに突っ切るように飛びちがった。....
新茶のかおり」より 著者:田山花袋
う丈高くなった麦が浪を打って、処々に白い波頭を靡かして居る。麦の畑でない処には、蚕豆、さや豌豆、午蒡の樹になったものに、丸い棘のある実が生って居るのを、前に歩い....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
ップを幾箇も列ねて竜胆が咲く。樫の木の下は、ドングリが箒で掃く程だ。最早|豌豆や蚕豆も蒔かねばならぬ。蕎麦も霜前に苅らねばならぬ。また其れよりも農家の一大事、月....
崖下の池」より 著者:豊島与志雄
今、あたりは焼け野原となり、その野原には、畠があちこちに作られ、麦の葉がそよぎ、蚕豆の花が咲きそめ、いろんな菜っ葉が伸びだして、つまり、大地の肌が薄汚い人家の古....
波多野邸」より 著者:豊島与志雄
れていて、全部で三百坪ほどもあった。その半分以上に、各種の野菜が植えられていた。蚕豆や莢豌豆にはかわいい花が咲いており、キャベツの大きな巻き葉が出来かかっており....
白木蓮」より 著者:豊島与志雄
あり、いら草の茂みが冬枯れのままに残り、小さく区切った耕作地には、麦が伸びあがり蚕豆の花が咲きだしている。その原っぱへ出ると、喜美子は、いっそう新鮮に子供っぽく....
土地に還る」より 著者:豊島与志雄
ることがありました。それから、彼の畑の野菜物を自由に採ってゆくようになりました。蚕豆が食べ頃になってるから四五本抜いていらっしゃいと、彼が誘ったのが始まりで、彼....
二都物語」より 著者:佐々木直次郎
いるが、豊かではない。麦のあるべき処にみすぼらしいライ麦の畑。みすぼらしい豌豆や蚕豆の畑、ごく下等な野菜類の畑が小麦の代りになっている。非情の自然にも、それを耕....
唇草」より 著者:岡本かの子
の上に繋いでいるとでもいったらいいかも知れない。 栖子は千代重が指図して行った蚕豆の莢を盆の上で不手際に剥ぎながら、眼はぼんやり花畑を眺めていた。 チューリ....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
ん。飛々に石を置いた向うは、四ツ目に組んだ竹垣で、垣に青薄が生添って、葉の間から蚕豆の花が客を珍らしそうに覗く。……ずッと一面の耕地水田で、その遠くにも、近くに....
天草の春」より 著者:長谷健
花期の長い菜の花大根の花には、もう青い実がむらがりついている。 グリンピースや蚕豆が、この島の名物の一つと聞いていたが、さすがにその評判に違わず、白い蝶形花冠....