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蛍
「蛍〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蛍の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
「朝日」の二十入りの空《あ》き箱に水を打ったらしい青草がつまり、それへ首筋の赤い
蛍《ほたる》が何匹もすがっていたと言うことです。もっともそのまた「朝日」の空き箱....
「道祖問答」より 著者:芥川竜之介
いろい紙の扇を開いて、顔をさしかくすように思われたが、見る見る、影が薄くなって、
蛍《ほたる》ほどになった切り燈台の火と共に、消えるともなく、ふっと消える――と、....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
度何分|廻転《かいてん》し」と言うのは必しも常に優美ではあるまい。
支那
蛍の幼虫は蝸牛《かたつむり》を食う時に全然蝸牛を殺してはしまわぬ。いつも新らしい....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
う、扱帯か何ぞで、姿を見せて下すったら、どんなだろう。花がちらちらするか、闇か、
蛍か、月か、明星か。世の中がどんな時に、そんな夢が見られましょう――なんて串戯云....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
意見に到達した(一八一一年)。彼の観測した星雲の中に極めて漠然とした緑色がかった
蛍光様の光を放つものがあった、これが原始状態であると彼は考えた。そうしてスペクト....
「海異記」より 著者:泉鏡花
、お浜といえば砂さえ、敷妙の一粒種。日あたりの納戸に据えた枕蚊帳の蒼き中に、昼の
蛍の光なく、すやすやと寐入っているが、可愛らしさは四辺にこぼれた、畳も、縁も、手....
「春昼」より 著者:泉鏡花
山の、何処も同じ習である。 樹立ちに薄暗い石段の、石よりも堆い青苔の中に、あの
蛍袋という、薄紫の差俯向いた桔梗科の花の早咲を見るにつけても、何となく湿っぽい気....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
…いや、それがまた早い。娘の帯の、銀の露の秋草に、円髷の帯の、浅葱に染めた色絵の
蛍が、飛交って、茄子畑へ綺麗にうつり、すいと消え、ぱっと咲いた。 「酔っとるでし....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
女がお持ちなさりました指の尖へ、ほんのりと蒼く映って、白いお手の透いた処は、大な
蛍をお撮みなさりましたようじゃげな。 貴女のお身体に附属ていてこそじゃが、やが....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
処を指して、時計は死んでいるのであるが、鮮明にその数字さえ算えられたのは、一点、
蛍火の薄く、そして瞬をせぬのがあって、胸のあたりから、斜に影を宿したためで。 ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
くそうでござります。」 若山は静かに目を眠ったまま、 「どんな処ですか。」 「
蛍の名所なのね。」とお雪は引取る。 「ええ、その入口迄は女子供も参りまする、夏の....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
さびしい声。突然しげみの中でがさがさいうのは、鳥がおどろいて巣から飛びたつ音だ。
蛍さえもひどく暗いところで鮮かにぴかりぴかり光り、ときどき並みはずれてよく光るの....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
た壺の広い中に、縞笹がきれいらしく、すいすいと藺が伸びて、その真青な蔭に、昼見る
蛍の朱の映るのは紅羅の花の蕾です。本屋続きの濡縁に添って、小さな杜若の咲いた姿が....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
います、)と手をついて挨拶して、ものもいってくれぬ師匠夫婦が気色のほどを伺うと、
蛍の祟りがあるのでもないから、因縁事でもあるまいけれども、才子はその時も手にして....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
時鳥の名に立って、音羽|九町の納涼台は、星を論ずるに遑あらず。関口からそれて飛ぶ
蛍を追ざまに垣根に忍んで、おれを吸った藪ッ蚊が、あなたの蚊帳へとまった、と二の腕....